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今日もまた、瀬戸内からの帰り道。
高松と岡山、大阪か京都というのが最近の定番。 今日はそして、久々に犬島に渡った。 犬島は岡山県の宝伝港から船で5分ほど、だが宝伝港にたどり着くには岡山から30分に一本の電車で西大寺まで行き、さらに日に3本のバスに乗り継がねばならない。 ラッキーなことに、行きはバスに接続した。 非常にレアな感じである。 ちょっと浮き浮きして座席に座り、運転手さんに「宝伝港に行きたいんですけど…」といいかけたところで一瞬止まる。顔なじみらしきおばあちゃん3人と運転手さんが盛り上がっている。 どうやら、バスの運行ダイヤが彼女たちの生活リズムに合っていないらしい。 「なんでやろ、あと10分待ってくれたら乗れるのに」 ひとりのおばあちゃんが言う。 「ほんまやな~」 と、他のお二人。 すると運転手さんが困ったように答える。 「犬島に行かれるお客さんがおるんや。今日も朝から3人いはったで。」 「ほんま?やっぱりおるんや、犬島に行く人」 「そうなんです。なんでも今年は大きなイベントがあるとかで、犬島と直島と豊島でも何かあるいうことです。」 「はぁ~、豊島でも」 「私ら、近うても犬島なんてよう見んわ」 きゃはっはっは。 と、盛り上がるおばあちゃんら、3人。 こりゃ、宝伝港で降りるとは、よう言わんわ。 …と、思わず関西弁で考える私。(正しい関西弁かどうかは別として) おばちゃんら3人が降り切ると、間髪いれずに身を乗り出し 「宝伝…」 と言いかけたとき、運転手さんの方から切り出した。 「犬島行かはるんですか?」 ハイッ、そうなんです! とぶんぶん首を縦にふった。 宝伝港はすでにすごい風。 島は風が吹き抜ける。ぶうん、ぶうんと体を押す。 港も同じ。 高松港もしかり。 海に出る。 80人乗りの船というのは、結構小さい。 船の定員は座席の数ではないらしい。 救命具が80人分あるらしいが。 水面が近い。 まるで地面のように、隣に寄り添ってる。 5分、あっというまの犬島。 犬島では、7月から維新派の屋外公演を行う。 維新派は、屋外で巨大セットを「自分たちで」組み上げる、まれにみる劇団だ。 もとは美術を専門としていた代表・松本雄吉氏がこの、巨大セットのデッサンを描く。 建築物を描く緻密さに、現実ではありえない空想性が覆っている、2次元の奇跡。 この奇跡を現実に、しつこいようだが、劇団員自らが1カ月も2カ月もかけて汗をかきながら作り上げる舞台なのだ。 これを、犬島で、やる。 公演では会期を通し、少なくとも4,000人を動員する維新派。 今回は、島であるがゆえに、香川県側と岡山県の数か所から臨時船を出し、しかも芸術祭のお客と入り混じる、難しいオペレーション。 自分の人生の中では、もちろん最大の仕事。 自分自身が混乱に陥ることなく、冷静に淡々と進めていくことが何より重要で、多くの人を味方につけ、ポジティブな渦をつくらなければならない。 もちろん、一つ一つが整理され、役割分担されていながら。 まずは最も急がなければならない仕事を片付けよ。 それから大きな構成をきちんと組み立てること。 できるのか? と、問われる。 しかし、できると思うから任せているんだが、と付け加えられれば、火がついたようにやる気がみなぎる、単純極まりない私である。 できるかできないか、神様にしかわからないけど、私にとっては今しかできない。 そう思うから日々、足に力を入れながら、ぶんぶん歩いているんである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年02月04日 20時10分01秒
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