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昨日一昨日、眠れぬ夜を過ごしたみなさんも多いのではないでしょうか?
日本全国津々浦々、ものすごい嵐が吹き抜けた(私の故郷北海道では現在進行中で吹き抜けている!)。等圧線は上質のバウムクーヘンのよう、あるいは樹齢100年の堅い木のような様相で、 「(線と線の間、)せまっ!」 ってみんな思ったはず。 そんなせま~い等圧線の間をくぐってきましたとも、昨日。 朝から窓をビリビリ言わせる風の音で目覚めた私。 今日は船に乗らなくていい日だから、と思ったが、よく考えれば夕方東京に帰るではないか。 この暴風のなか、フライト?? ふっ。 大丈夫、夕方までにはきっと回復へ向かうはず。 確かそんな天気予報だったじゃーん♪ さて出勤。 いつもの会議室で会議が続く。 高松の町をあるく、そして海が向こうに。 おお!あの穏やかな瀬戸内に白波が。 防波堤や波止場には、裕次郎映画よろしく 「ざっぱーーーーん!!!」 と波がたたきつける。 この風景、日本海なら珍しくもなんともないが、瀬戸は~日暮れて~♪とのどかな歌にもなっちゃう、鏡のような穏やかな海、瀬戸内海にはありえない光景なのだ。 ぶるぶるっ。 お日さまは出てきたものの、気のせいか風は更に強くなっている。 インターネットで検索、ほっ、なんとか飛行機飛んでるらしいよ、こりゃ。 夕方。 とにかく帰りたい、その一心でバスにのって空港へ。 なんと定刻通り。 すごい! 最近の技術の進歩は、こんな天気にも対応できるのね~。 飛行機に乗り込むと、 「本日は皆さまのご協力のおかげで、定刻よりも早く出発することができました…」 という、やさしいお姉さんの声。 しかしこれが嵐の前の静けさだった、とは離陸して15分で気がついた。 ぶんぶんと横に振られ、ぐいぐいと上にいったり下にいったり、ぶおん!とまるでスライダー感覚である。 ほんとに、生ジェットコースターという感じなのだ。 「飛行にはまったくも、問題ご、ございません」 がたがたがた。 揺れ続ける機内で、乗客を安心させるはずのアナウンスも揺れのあまり途切れ途切れになっては逆効果ではないか。 うぷ。 おっと珍しい。 バスには酔っても飛行機になんぞ酔うとは思いもしなかった。 これだけ急上昇急下降を繰り返せば、そりゃ胃袋だっておかしくなる。 「ぐ、ぐすっ、ぐすっ」 おっとぉ!? 前の席の女性がすすり泣いているもよう。 こりゃ重症だ。 ちらりと機内を見まわすと、冷静(を装っている風)な人、喜んでいる(ように見せかけている)人がちらほらいたものの、さすがに皆凍りついていて目はまっすぐ前を見据えている。 ぐわっ、と揺れるたびに 「きゃあぁっ♪」 とさながら女声合唱団である。 10分くらいは揺れを楽しんでいた私も、とつぜん飽和点に達したらしく、ぞわっ!と恐怖が襲ってくるのがわかった。 こうなると歯医者の痛みとおんなじだ。 知らないときは平気だったのに、痛みをひとたび知ってしまうとあの ♪きぃぃぃぃ~ん♪ という音を聞いただけで痛い。 座席の手すりを握りしめた私も一緒だった。 ぐらっ! おおっ! 目の下に1%ずつクマができていくのがわかる。 そのときに非情なアナウンスが… 「皆さま、ただいま大きな揺れが続いておりますが…この揺れは着陸まで続きます。」 おいっ! そのアナウンスは聞きたくなかったぞ! こんな上下左右に揺れてるまま着陸したらどうなるんじゃいっ。 もう神様お願い。 飛行機は好きだけど、怖い飛行機は嫌いです。 たぶんまた乗るけどもう揺らさないでください。 なむなむなむ… 地上が近づく。 心臓はぼっくん、ぼっくん、異常なボルテージである。 神様地上に降りたい。 でも降りたくない。あーれー。 頭の中に汗をかいてひやっ!とした瞬間、意外にもタイヤはわずかな振動を伝えただけで、機体が左右に揺れることもなくスムーズに着陸した。 ああ! 機長よ、機長様、あなたはほんとうに優秀です。 スポーツ観戦のときのように、突然目頭が熱くなる。隠れ(?)感激屋の私。 そのとき、うげっ、という声を聞いた。 哀れ、前の女性は座席前ポケットの防水紙袋が必要な事態に陥ってしまったらしい。 隣の友人が肩をたたいてあげている。 そんなとき、最後のアナウンスが―。 「皆さま、東京羽田空港に無事着陸いたしました。皆さまの中にお気分のすぐれない方がいらっしゃいましたら…機体が完全に止まり次第、私どもがお手伝いに参ります」 いや、多分彼女に助けが必要だったのは着陸する前であったろう。 しかしどうにもならないことがある。 どんなに慣れても飛行機は、やっぱり万一の異常事態の心づもりが必要なのね。 (そう言いながら、一週間後には間違いなく再び空港を楽しんでいることだろう) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年03月22日 13時40分36秒
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