小便小僧(Manneken Pis) le Petit Julien
今月はピンク・リボン・フェスティバル(ピンク・リボン月間)だそうです。目的はもちろん「乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える」事をビジョンとする運動です。日本人女性では15人に1人が乳がんで亡くなっているそうで、1980年と比べると約3倍。その数は年々増加していたそうですが、運動の効果もあったのか? 2011年をピークに気持ち減少してきているようです。ピンク・リボンについてはたまたま前々回の「イロ・サクレ(Ilot Sacre)のレストラン 1」の中、小便少女(Jeanneke Pis)の噴水の所で紹介したところでしたね。今月は東京タワー、都庁、レインボーブリッジ、表参道ヒルズなどが協賛して、ピンクの電飾でライトアップをするそうですで、今回は元祖 小便小僧(Manneken Pis)の紹介です。小便小僧(Manneken Pis) le Petit JulienManneken PisのLegend(伝説)le Petit Julien(プチ・ジュリアン)小さなジュリアン君と言う愛称で呼ばれているのがグラン・プラス近くの噴水像の少年です。彼はベルギー、ブリュッセルの名誉市民であるらしい。若いのに一番歳をくった市民である。噴水は道のコーナーにある。街角の噴水・・と言うよりここは中世には街の水飲み場だった事でしょう。確かに彼は観光客の集客に一役買っているし、お土産にも彼のキャラクターはたくさん使われている。三大ガッカリ・・と言われようが彼の果たしている役割は大きい。特に外交面では特使である。彼のレプリカは世界中に散らばって外交をしているし、彼には世界中の国や企業からプレゼントが後を絶たない。世界中からプレゼントされる彼の衣装は650着を越えていると言う。それらはブリュッセル市立博物館(王の家)に行けば展示公開されている。(有料)1619年にオリジナルの噴水(水飲み場?)を設置したのはブリュッセルの彫刻家ヒエロニムス・デュケノア(Hieronimus Duquesnoy)で当時の大公妃イザベラと大公アルバートの宮廷彫刻家だった人です。彼の生没は不明ですが、息子はローマで成功したバロック彫刻家フランク・デュケノア(François Duquesnoy)(1597年~1643年)です。この像は何度も盗まれ、現在のオリジナルは1965年に製作されたもの。当然これはレプリカである。ブロンズ製。高さ24インチ(60.96cm)ビール会社のイベントの時は水の代わりにビールが吹き出て皆に振る舞われると言う。雨が多かった時期のせいか? 毎日服を着ているわけではなさそうだ。衣装が増えたのは20世紀になってからだと言う。企業はともかく軍や世界各国から民族衣装などいろいろなデザインの衣装が送られて来ると言う。日本からも数種来ていて、5月人形のような兜(かぷと)に甲冑(かっちゅう)の高そうな装束も贈られている。チョコレート製のジュリアン君このあたりは当然ジュリアン君のおかげで店が潤っているのでジュリアン君にあやかる店が多い。Manneken PisのLegend(伝説)ところで、このような像は実は12世紀から15世紀には存在していたと言う説もある。当時は石でできていたと言うが、いつから少年の像になったかで、当然ルーツも異なってくる。伝説自体がたくさんあるのだ。その中で最も有名なのはデューク・ゴドフリー3世の幼少時の逸話だそうだ。ブリュッセルの北ブラバンド(Braban)の公爵家の家督争いの戦いにおいて、父が亡くなり、わずか2歳で戦争にかり出されたのがデューク・ゴドフリー3世Duke Godfrey III (1142年~1190年)である。戦いは1141年~1159年に行われたグリムベルゲンの戦い(Wars of Grimbergen)ベビーとは言え、戦いの主君である彼はバスケットに入れられて戦場で木に吊されていたそうだ。その時、ベビーは敵方の軍の頭上でおもらしをした。(この当たりは誇張?)その時に・・ではないが、結果的にその戦いで勝利したようである。それ故デューク・ゴドフリー3世はduke in the cradle(揺りかごの公爵)と呼ばれるそうだ。前から疑問だったのだが、ジュリアン君は少年と言うにはあまりに小さく顔立ちもベビーそのものである。だから私はこの説にちょっと納得する。それにベビーのいた戦場は、全員でチャンバラするような場ではなくおそらく主将の一騎打ちで勝敗を決める。・・と言う中世式の戦いだったと思うから、ありな話かも・・。一般に日本で知られているのは、爆薬の導火線をおしっこで消して街を守った・・と言う逸話であるが、これには疑問を持っていた。もしそうなら銅像はもう少し少年であっても良いはずであるし、少年のおしっこごときで導火線の火が消せるとも思えない。だいいち導火線を使って火薬を爆破させる・・と言う爆破の歴史自体が近年になってからでないと成り立たない話だからだ。スタンド売りのリエージュ風ワッフル店もちろんサンプルであるがサンプルがまずそうである。夜遅くまで繁盛しているのは皆が見学に来た帰りに買っているからだ。本当に小便小僧、様々である。