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カテゴリ:雑記
ここ数日、相談や取材の電話やメールが多くなっていて、
まちネットの活動範囲、メンバーの職能の範囲でもあるので、 いずれきちんとコメントを...と考えていますが、 堅い話でもあるので、ここではあまり深く突っ込みません。 ただ、取材力の無いメディアや、実務を知らない建築士、 無責任な外野陣がいろいろなコメントを出していて、 それが市民を混乱させることになるのがとても恐いことなので、 少しだけコメントを。 まず第一に、審査機関のチェック体制を問う意見がありますが、 この問題の責任の所在をちゃんと順序をつけて問うべきです。 何よりも問われなければいけないのは、偽造した建築士の責任。 建築士資格は国家資格として、個人に与えられるものです。 すなわち、個人の技術や判断力に委ねられている部分が大きく、 極端な言い方ですが、審査機関などがあろうとなかろうと、 建築士の責任において必要十分な建築物が創造されるべきで、 建築士はその社会的要請に応えるだけの大きな責任があります。 また、設計行為というのは様々な要素を包含して行われるもので、 単に数字の整合性とかチェックによるOK,NGの問題ではなく、 その観点から言えば、審査機関による完璧なチェックは不可能。 確認申請の実務に携わる建築士なら判ることですが、 審査機関の担当者とは、暗黙の相互信頼の上で審査が進みます。 今回のケースは、この暗黙の信頼関係を悪用し欺いた行為であり、 これをもって審査機関のチェック体制を第一に問うのはおかしい。 あくまでも建築士の詐欺行為が第一に問われるべきです。 その上で、確認申請や審査機関のチェック体制を、 一層システム化することが、これを機に検討されるべきことです。 この観点から、今回の「事件」は個人の詐欺によるレアケースで、 市民に必要以上の不安を与えるのも良くないと考えます。 ひとつの根拠を提示できるとすれば、最近各地で発生する地震で、 「震度5程度で崩壊」した建物が、数多くあったでしょうか。 冷静に、かつ厳しい視点で検証をしなければいけない問題です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
一般人からみるとそのチェック機関は仕事もしない天下り先に写ってました。実際業務に係わってらっしゃる方はまた違う見方があるんでしょうね(^^ゞ またそのあたり教えてください(^^♪
(Nov 22, 2005 08:48:02 AM)
『取材力の無いメディアや~無責任な外野陣がいろいろなコメントを出していて、それが市民を混乱させることになるのがとても恐いこと』
最近私の業界でも似たような状況が発生しており、この恐ろしさを痛感しています。マスコミはセンセーショナルな報道に走りがちなので、読者が冷静かつ批判的な目を持つことが非常に大切だと思います。 (Nov 22, 2005 01:11:10 PM)
kj_yさん
確認申請業務が民間開放されて、全体数の半数程度が 民間審査機関で行われてるようです。 以前は、建物を建てる地域によって審査をする機関(自治体)が自動的に決まっていましたから、 審査機関ごとの競争はありませんでしたし、 その地域に審査物件が無ければ無いで、ヒマを過ごすだけでした。 ところが、民間開放されることによって地域が関係なくなり、 各機関は「営業」をし営業努力をすることになります。 この影響が全くないとは言えないと思いますが、 民間開放がイコールいい加減な審査になるという議論は、 あまりにも短絡的で、市民を混乱させるだけだと思います。 要するに、メディアはこうした背景や状況を、 正確に判りやすく伝える役目を持っているわけで、 その上で、間違ったものは、個別に徹底的に糾弾する と言う姿勢が必要だと思います。 (Nov 23, 2005 10:29:47 AM)
Kinkinさん
どんな人でも専門領域・業界の中で仕事をしているわけで、その業界全体の問題となれば、死活問題ですね。 例えは良くありませんが、殺人行為があったとすれば、 一番悪いのはその殺人行為を行ったものであり、 その家族や所属する組織、環境や社会が悪いと言う議論は二の次であるはずです。 また、これだけ個性を尊重する時代になりながらも、 何か問題が起こると、組織や社会の責任にする風潮も、 なんだか矛盾していると思います。 まず個人の責任を厳しく問う。 その上でそれを取り巻くチェック機関や社会環境、 その人が背負っていたものを勘案する。 市民、消費者としても、そうした姿勢を持っていかなければ、 社会全体がおかしなことになってくるのではないかと懸念しています。 (Nov 23, 2005 10:38:56 AM) |