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カテゴリ:小説 ミステリ
読書の楽しみの一つは、頭の中で場面を思い浮かべ想像することにあると思う。最初に映像で見てしまうと、どうしてもその影響から逃れられない。東野圭吾『白夜行』もテレビで見てから読んだので、綾瀬はるかが消えなかった。
この『閉じた本』は映像化は不可能だろうな。交通事故で顔にひどい怪我を負い、眼球を(つまり視力も)うしなったブッカー賞作家ポールは、隠棲している。口述筆記の助手を募集したところ、ジョンを採用。まったく見えない世界で、ジョンに対する信頼が怪しくなってくる。 ほとんどが、会話と、ポールの独白でつづられている。見えてはいないのだけど、世界はポールの視点で描かれている。だから、読者も、本当に何が起こっているのかつかめない怖さがある。よって、映像化は不可能。 自分の目の届かないところで何か起こっているのか、盲目でなくてもわからないことは多い。食べ物をどうやって作ってるの?とか、病院の衛生管理とか。こうやってブログを書く人も、どんな人が書いているのかわからない。疑い出せばキリがないけれど、誰もが潜在的にその種の怖さをもっていると思う。 細かい点で問題のあるミステリだとは思うけど、着想は面白かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年03月04日 09時24分27秒
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