苦役列車 西村賢太
【送料無料】苦役列車価格:1,260円(税込、送料別)作者:西村賢太芥川賞受賞作。これが「私小説」だというから、すごい。父親の犯罪が原因で両親が離婚、中卒で家を飛び出した「貫多」は日雇いの仕事をしながら、安アパートの家賃を何度も踏み倒しながらいきている。友達も、恋人も家族もいない貫多。楽しみといえばコップ酒とたまの風俗通い。毎日、仕事にいくことすら「どうしようか」と考える貫多だったが、友人のようなものができ、毎日仕事にでるようになる。そして、その友人日下部との関係は…「日雇い労働」のシビアさはわかっていたつもりだけれど、改めてしんどい世界だなと感じた。それもすごいが、貫多の人生もなかなか。19歳という設定だけれども、荒みきった心と、それでも「人とのつながり」を渇望する若者らしい心が同居している。意志が弱く、人とのつきあいもできない貫多にハラハラさせられながら、面白く読むことができた。風俗とか、性にかんする下品な表現が多いけれど、高校生ぐらいになったら子どもに読ませたい作品の一つ。学校教科書にも、こういうの採録すればいいのに。難しいことばも出てくるけれど、この世界、高校生なんかは興味を持って読むんじゃないかなあ。こういう青春小説も、アリです。