カテゴリ:大豆田とわ子を分析・考察!
まめ夫。第3話。
鹿太郎は「ダメ男」の設定ではあるけど、 いちおうは一端のファッションカメラマンなのだし、 世間的にみれば、けっしてダメ男ではありません。 このドラマの登場人物たちは、 ラジオ体操で出くわす清水宗治の子孫もふくめて、 おそらくは現代日本社会の上流・上層の人たちです。 つまり、端的にいえば、 「社長はつらいよ」であり「金持ちはつらいよ」であり、 「セレブはつらいよ」みたいな物語なのです。 一見すると、 トホホなエピソードばかりが描かれるけれど、 けっして不幸なお話ではなく、 どちらかといえば、 3人の男と離婚してもなお、 女性として豊かな人生を送ることもできるという、 かなり優雅な物語と言うほうが正しい。 これって、 なかなか名状しがたい価値観だし、 一般の視聴者に共感されるような内容じゃないし、 視聴率が低いのも当然なのだけれど、 坂元裕二の卓越した手腕によって、 ハイセンスでユーモラスな雰囲気を維持しながら、 なんとかギリギリのところで持ちこたえてる感じ。 とても果敢で挑戦的な作品ではあるけど、 他の作家がこのような路線を真似たら、 たぶん大怪我すると思います。 ◇ さて、 謎の女優から、 身勝手な「スキャンダル隠し」の協力を迫られた鹿太郎です。 しかし、彼自身、 かつては芸能カメラマンだったのだし、 女優と芸能事務所の弱みを握ったら、 むしろ優位な立場になるはずですよね。 それでも、 騙された上に、 スキャンダル隠しまでタダで請け負うのかしら? ◇ ちなみに、 まったくの余談ですが、 お芝居の脚本に「昨日」と書いてあった場合、 それは「さくじつ」ではなく、 たいていは「きのう」と読むべきです。 同じように、 「昨夜」なら「ゆうべ」、 「一昨日」なら「おととい」、 「一昨年」なら「おととし」と読むべきですよね。 そこらへんは演出家の責任でもありますが、 無教養な演出家や俳優ほど、 口語ではありえないような読み方をしてしまいます。 ひとつひとつ自分の言葉として咀嚼すれば、 そんな読み方にはならないはずですが、 一字一句、字面どおりに読むべきだという発想が、 かえって裏目に出る場合もあります。 今回、 瀧内公美は「昨夜=さくや」と読んでいたけれど、 これは坂元裕二の意図だったかもしれないし、 そのことで女優の愚かしさを表現したのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.07.13 17:20:02
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