映画「岸辺露伴/ルーブル編」はベルトルッチ風?
実写版の「岸辺露伴は動かない」。去年の年末放送の終わり際に、京香さまがルーブル編をほのめかしたとき、「来年の予告にしちゃ早いんじゃない?」と思ったけど、5月に映画が公開されるのだそうです。◇NHKが制作する映画というと、「スパイの妻」とか、「アーヤと魔女」とかがあったけど、シリーズものの映画化は初めてなのでは?わたしが知らないだけ?民放では、ドラマシリーズの映画化をよくやる。海外ロケのすえに大コケするパターンもままある。岸辺露伴のドラマ版は、すでにAmazon prime videoで世界配信してるそうですが、映画も国際市場を意識してのことかしら?◇ドラマの世界観をそのまま海外に移すと、なんだか取ってつけたように、ちぐはぐした印象になりがち。先日、フジテレビで、映画「コンフィデンスマンJP」のフランス編を見ましたが、もっぱら日本のタレントだけで漫画っぽい世界観を作っていた。まあ、あれはあれでひとつの手法かなと思います。へたに海外キャストを混ぜると、日本のキャストだけが漫画っぽく浮いて見えるし、それよりは、あえてリアリズムを排除して、徹底的に漫画的な世界を作ってしまったほうがいい。◇日本アニメの舞台化や実写化が続いていますね。しかし、まだ世界の市場を席巻するほどのヒットは出ていない。フジで「エルピス」を撮った大根仁が、さかんに「映像ルック」ということを言ってましたが、とくに実写の場合は、この映像ルックの開発が至上命題になってきています。日テレの「定塚翡翠」も、(内容はつまらなかったけど)もっぱら映像ルックだけで成功していたと言っていい。…黒沢清は、東洋人の俳優を使った映像表現において、エドワード・ヤンをほぼ唯一の模範にしたそうです。今回の「岸辺露伴」を撮る渡辺一貴は、ベルトルッチの「暗殺の森」を意識しているらしい。まだ不安のほうが大きいけど、なんにせよチャレンジすることは重要ですね。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(アスミック・エース/NHKエンタープライズ/P.I.C.S.)