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ファーストペンギン!
今夜は第8話。 かなり凄い内容になってます…。 当初は、 ただ「お魚ボックスを売る」というだけの話で、 はたして10話分のドラマになるの? と、ちょっと懸念してたけど、 …とんでもなかった。 これだけいろんなことが起こるのですねえ。 商売の問題だけじゃなく、 家族の問題があって、 後継者の問題があって、 地元社会の問題があって、 さらには、ものすごく政治的な問題も絡んでくる。 じつによく取材された骨太な脚本です。 ◇ 梅沢富美男が、漁協の組合長を演じています。 いまもなお、 漁協関係者がこのドラマを見たら、 きっと梅沢富美男のセリフに頷くんじゃないかなあ。 かなりリアルです。 彼が守ろうとしているのは、 もちつもたれつで成り立ってきた既存の仕組み。 さらに第7話では、 地元のドンみたいな元政治家が出てきて、 殺人みたいなことまで仕掛けてきました。 既得権益を守るためには手段を選ばないのですね。 ◇ 既存の仕組みを変えようと思ったら、 これだけ色々なことが起こるんだろうな。 漁協だけでなく、 農協とか、医師会とか、スポーツ協会とか、 あらゆる団体について同じような事がいえるのでしょう。 つまり、足を引っ張っているのは、 古い体質に縛られたローカルな社会や組織であり、 そこに根差してきたポピュリズム政治ってこと。 いわばマフィア的な仕組みになっているのですね。 そのような構造が、じつによく見えてくる脚本です。 ◇ これまでにも、 NHKの朝ドラとか、TBSの日曜劇場で、 経済人のサクセスストーリーが作られることはあったし、 最近だと、 TBSの「ユニコーンに乗って」みたいに、 (たんなるOLのお仕事ドラマじゃなく) 女性経営者のドラマも作られるようになってますが、 この「ファーストペンギン!」の場合は、 ただの経済人のサクセスストーリーじゃない。 日本の社会構造まであぶりだす政治的な内容です。 フジテレビの長澤まさみの「エルピス」も、 かなり政治的なテーマに突っ込んでますけど、 このドラマも、じつは非常に政治的な作品なのですよね。 ◇ こういう骨太な脚本は、 やっぱり森下佳子の手腕によるところが大きい。 彼女がTBSで、 綾瀬はるかのために書いた一連の作品も、 ほとんどが硬派な内容ばかりだった。 意外に恋愛ドラマは少なかったのです。 もしかしたら、 今後、森下佳子は、 日テレの奈緒でドラマを書いていくつもりなのかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.11.23 10:40:48
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