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NHK「藤子F不二雄SF短編ドラマ」。
BSで4月に放送された前半7編が、 地上波の夜ドラ枠で放送されていました。 星新一に続く、SFシリーズ第2弾? ◇ 藤子F不二雄の世界観をうまく映像化してた、 …ともいえるけど、 それ以上に感じたのは、 実写になっても変わらない原作の個性の強さ。 どのエピソードにも、 漫画家の強烈な作家性が滲み出ていました。 星新一より個性が強いかも。 ◇ 星新一のSFは、 わりとバッドエンドが多かったけど、 藤子F不二雄はハッピーエンドが多い印象。 しかも、 ものすごく他力本願的なハッピーエンドです。 主人公は全員のび太っぽくて、まったくの怠け者。 なんの努力もしないのだけど、 なぜか棚ぼた的にハッピーエンドに終わる。 まさしく「ドラえもん」がそうであるように、 ものすごくご都合主義的な世界観(笑)。 それが藤子F不二雄の個性なのだなと思う。 ちなみに、 鈴木福くんはのび太っぽかったし、 堀田真由もしずかちゃんっぽかったです。 スネ夫+ドラえもん=ジャイアン ◇ 最後のエピソードは「流血鬼」でした。 人類が死なない吸血鬼になってしまう話。 手塚治虫から宮崎駿を経て、 吾峠呼世晴の「鬼滅の刃」に至るまで、 日本の漫画は人間の《不死願望》を戒めてきたけれど、 藤子F不二雄の場合は、 未来の技術に対して楽観的なのか、 「人間が死ななくなるなら、それでいいんじゃないの?」 みたいなところがある(笑)。 正直、わたし自身も、 鬼滅の刃を見ていると、 「死ななくて済むなら、みんな鬼になっちゃえば?」 と思ったりします。 炭治郎は、鬼の誘惑を拒絶して、 「人間は死ぬからこそ一生懸命生きられるんだあ!!」 みたいに言うけれど、 なんかアナクロ的な精神論に聞こえてしまって、 いまいち説得力を感じないのよね。 藤子F不二雄の場合は、 「みんなで吸血鬼になれば怖くない」って感じ。 なし崩し的に、みんなが死なない吸血鬼になってしまう。 そういう未来への楽観論は、 わたしたちの世代的な価値観にも重なってる気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.06.16 13:58:24
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