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テレ朝「ハヤブサ消防団」を見終わりました。
なるほどね~。面白かったです。 犯罪ミステリーというより、 宗教社会vs世俗社会の葛藤についての話って感じ。 ◇ 信者のマインドコントロールと、 それを解くことの難しさも描かれてました。 池井戸潤の原作は、 2021年6月から2022年5月までの連載。 その2か月後に安倍晋三が暗殺されて、 統一教会の問題が明るみになったことを考えると、 けっこう予言的な内容だったのでは? もうひとつ想起されるのは、 上九一色村を拠点にして大量殺人を犯したオウム真理教と、 麻原彰晃の不在のあとに存続しつづける後継団体のこと。 ◇ でも、それ以上に、 わたしは《戦前の天皇制》のことを思い起こしました。 宗教は、 教祖が絶対的な権力をもってる場合もあるけど、 じつは教祖がむりやり祭り上げられて、 周りの連中がその権威を利用してる場合もある。 戦前の天皇制はその典型で、 天皇自身が権力をふるっていたというよりも、 軍部がその権威を利用していたという面が強い。 … 戦争が終わって、 天皇が過ちを認めて人間宣言をおこなうと、 それまで天皇を祭り上げていた連中は、 一転して天皇を「裏切り者」とみなすわけですよね。 現在のネトウヨも、 皇族を悪しざまに扱き下ろしたりしています。 利用価値のあるうちは「神」と崇めるけれど、 都合が悪くなると平気で罵倒するようになる。 そういうところも、 今回の物語にそっくりだと思いました。 ◇ キリスト教も、 死者を祭り上げることで成立した宗教です。 それを創始したのは、 イエス自身ではなく弟子のパウロだから。 教祖が死んでいるからこそ、 都合のいい物語を作り上げることができる。 ダン・ブラウンの「ダヴィンチコード」は、 "イエスに子供がいた"と暴露するミステリー小説ですが、 かりにそれが真実であれば、 キリスト教にとっては不都合なスキャンダルになります。 天皇制の場合も、キリスト教の場合も、 教祖が「ただの人間」だとバレるのは非常に都合が悪い。 作りあげた神話がぜんぶ嘘になってしまうから。 ふつうに結婚したり、 ふつうに子供を産んだりすることを、 信者は認めようとしない。 そういう教祖の人間的な部分は隠さなければならない。 ◇ ジャニーズ信者とか、山下達郎信者とかも、 信じたい部分だけを信じて、 醜悪な真実からは目を背けつづけています。 それだけではなく、 真実を暴こうとする被害者を「敵」とみなして攻撃もする。 これは、 天皇やイエスが「ふつうの人間」であることを認めようとしない、 宗教原理主義者と同じです。 あるいは、 地動説を主張するガリレオを断罪した中世の坊さんとか、 ダーウィンの進化論を悪魔の教義とみなす米国の福音派と同じ。 彼らにとって「真実」は都合が悪いからです。 わたしは7月10日の記事で、 「ジャニヲタと達郎信者とネトウヨが共闘する」と書いたけど、 それも信仰の心理によって説明がつきます。 信者にとって「不都合な真実」は共通の敵になる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.09.24 14:05:12
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