カテゴリ:秋田県の菓子(郷土菓子含む)
2006年5月初公開
![]() 秋田県湯沢市では毎年2月の第2土曜日、日曜日に 入手した犬っこは、今では珍しくなったしん粉100パーセント&伝統色のもの。 現在は、お飾り専用ですが、 戦前や戦中あたりまでには「戸窓塞ぎ*」という厄除け行事に使ったあと、 焼いて食べるためのお菓子でした。その頃には横手や大曲、 遠く中仙町にも「犬っこ市」が立ったそうです。 けれども、戦後の高度成長期に小正月行事の観光化が進むなか 「犬っこ」は湯沢以外の町で売られることはなくなりました。 今では「犬っこ」は湯沢、「かまくら」は横手と地域分けされています。 ちなみに、昔湯沢近辺で作られていた「かまくら」は横手スタイルとは異なり、 雪壁に板やムシロ、スダレをかけた素朴な姿と聞いています。 ↑伝統の「鶴亀」セット。このしん粉細工を玄関や窓辺に飾ると、 泥棒よけ 以外にもあらゆる災厄を防いでくれると言われています。 もちろん、犬っ こだけでも効力発揮! 子孫繁栄を願うと言われています。特に後姿に注目ください。 巻きしっぽが、かわいいでしょ。犬種が秋田犬と言うのも、これならうなずけます。 菅江真澄の『小野のふるさと』から引用すると 「狗(いぬ)、猫、花、紅葉など、いろいろにいろどりたるかたしろを 餅をもてつくり、わりこに入てわらはべ、家ごとに持はこびたり」 花は、さくらと言われています。 このもともとの「鳥追い菓子」が、いつの時代に「鶴、亀セット」に姿を変えたのか、 そもそもどんな色づけだったのか、興味はつきません。
何度も繰り返しますが「鶴亀セット」は、 戸窓塞ぎという災厄除け行事のお菓子でした。 災厄を除けるという祈りと願いが込められていたのです。 であればこそ、そこに用いられた形や色に、 今以上に切実な願いを人は託したのではないでしょうか。 *戸窓塞ぎは、東北から新潟にかけて行われていた災厄除け行事。 多くは、餅を窓辺に置いたようです。 「湯沢の犬っこ」も、広義の意味で「戸窓塞ぎ」に入れる民俗関係の文献が多く、 この原稿はそれに準じました。 なお、湯沢市の公式見解では「犬っこ祭り」の起源を元和の時代の泥棒退治とし、 「犬っこ」も泥棒除けとしています。 参考:『餅』『東北の鬼』『陰陽五行と日本の民俗』等
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Last updated
Jan 19, 2019 12:01:53 PM
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