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おぢさんの覚え書き

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2018.03.24
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カテゴリ:歴史/考古学/毛人
前回​「鏑川上中流域弥生末期~古墳前期土器の変遷見直しの為の地ならし」​に於いて以下を整理した。
  • 参考になる先行研究
  • 編年上の各段階の様相
  • 見直し作業の目的
  • 土器検討作業の対象住居
今回は、どのような分類を用いて土器の検討を行うのか考えてみる。今のところ東海系やその他外来系土器については、基本的に「太田地域における古墳時代前期の土器編年試案」[1](以下「太田地域編年」)で使われている分類を用いれば良いと考えている。
問題は、樽あるいは吉ヶ谷系の土器に適用する分類である。南蛇井増光寺遺跡報告書に示された分類と丹生遺跡群報告書に示された分類を候補として考えた。それぞれ一長一短があり決め難い。以下ファイルの各シートに各遺跡の報告書に示された土器分類を表にまとめた。但し、おぢさんの分類集計作業上の使い勝手などを考えて一部変更を加えてあることを断っておく。

『鏑川上中流域弥生後期4期~古墳前期土器分類』(おぢさん)

実際にこれらの分類を用いて土器を分類してみるのが一番だろうということで、分類をしてみた。この結果を踏まえ、どの分類を用いるのか決定する。まず、南蛇井増光寺(C区)の4期に属し、複数の土器が出土した住居10軒(6・9・22・38・39・46・68・81・94・97号住居)を抽出した。それらの住居から出土した106点の土器を対象に分類を試みた。個々の土器の分類結果は以下ファイルの「南蛇井増光寺C区」シートに示した。対象としたのは比較的残存部分が多く元の器形が推測できる土器のみとした。

『鏑川上中流域弥生後期4期~古墳前期編年』(おぢさん)

まず数が多い甕類を分類する。106点の土器中52点が甕類で、内50点が在来系の甕である。

南蛇井増光寺分類による甕の分類結果


太田地域編年分類による甕の   上丹生屋敷山分類による甕の
分類結果            分類結果

南蛇井増光寺分類では在来系の甕は51の分類がある。サンプルの在来甕50点は25の類型に分類された。やや細分化されすぎている感がある。
太田地域編年分類では半数以上が櫛描施文甕の A1a に分類される。傾向は読み取りやすいが、単純化され過ぎの感がある。
上丹生屋敷山分類では在来甕50点は13の類型に分類された。2点が羽状文施文甕で分類不能であった。

分類作業をしていて「4期の在来系土器の3期に比べての特徴の明確化」という目標は、分類も細分化する必要があり複雑になり過ぎると思われるため今回の作業とは切離そうという結論に達した。最大の目的は「鏑川上中流域の土器の大半に対応できる編年を得る」ことである。

もう一つ実際に分類して気付いたのが、箱清水系の影響の強さだ。樽式と箱清水式はともに櫛描文系土器なので一見、縄文の吉ヶ谷のようには目立たないが、よく見ると明らかに箱清水系の影響の強い土器群が存在する。滑らかな頸部のラインは去年の科野旅行でも目立った特徴だった。鏑川上中流域は樽式に吉ヶ谷と箱清水が在地化に近い影響を与えるという、三系統が混じり合う地域だったということが実感できた。

上田市立信濃国分寺資料館―科野旅行(おぢさん)

南蛇井増光寺分類では甕の大きさの分類として3段階を設けている。大型と中型の境を口径15cm、器高20cmとし、器高15cm以下を小型としている。このほかに「小甕」という分類を設けている。小型の甕の容量が500cc~1ℓに対して、小甕は100cc~350ccの大きさ。この大きさによる分類は今回の作業でも踏襲する。

南蛇井増光寺分類の集計では甕の大きさは大・中型と小型に分けて集計した。50点の在来甕には小甕はなかった。
南蛇井増光寺分類は最初にⅠ群―櫛描施文系、Ⅱ群―縄文施文、Ⅲ―それ以外に3大別するので施文重視と思っていた。しかし、次の分類基準は器形で、3大別で系統は重視しているものの基本的には器形と施文の分類だということが確認できた。

上丹生屋敷山分類は器形に関する分類は、「台」の有無による分類の他には「輪積み」、「折返し口縁」とそれ以外という要素のみである。

ここでは詳細は示さないが、上記の既存3種類分類基準による分類作業とは別に、上記の106点の土器と上丹生屋敷山出土の4期の土器をサンプルに、自由に似た者同士をグループ化することも試みた。

南蛇井増光寺分類に示された分類は十分なものと感じたが、上位の分類が下位の分類を拘束し覚え難いのと、今回の目的には細分化されすぎている感がある。上丹生屋敷山分類は形態分類が単純すぎる感がある。比較の為にも既存の分類を使用したかったが、自分の感覚に合うものを使いたいと思い、在来系の甕に関しては独自の分類を考案することとした。以下はそのプロトタイプ。

『鏑川上中流域弥生後期4期~古墳前期土器分類』「おぢさん」シート

上位の分類は下位を拘束しない。定義上2×5×7×2=140類型であるが、実在するのはずっと少ないと思われる。施文についてはもっと単純化したかったが、次の3・4期の違いの明確化の作業に備えて分類して置きたかった。集計ではひとまずP・QとR・S・Tは一括するのも一案。

次回は、この分類結果とその他、作業中気になった点について報告予定。


[1] 深澤敦仁 2008「太田地域における古墳時代前期の土器編年試案」
群埋文『成塚向山古墳群』


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Last updated  2018.04.15 15:20:00
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おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ (続き)昔ある人がお…
おぢさん@ Re[3]:無(03/15) なんだかねさんへ お久しぶりです。永ら…
おぢさん@ Re[1]:土器-編年(02/14) 上毛野形名さんへ 長いこと返信もせず失…
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