カテゴリ:歴史/考古学/毛人
南蛇井増光寺C区の土器106点の分類試行のつづき。高坏15点の分類を行った。
南蛇井増光寺エリアの土器(分類試行)(おぢさん) 高坏については「太田地域編年」[1]の分類に従おうと考えていたのだが、口縁端部内面の面取りを指標としており、報告書の図と観察表からの分類には適さないと思われた。また大きさが分類指標の一つとなっている点も、大きさによる作り分けがあり、器形もそれと連動することを考えれば合理的ではあるが、大きさについては一旦別個に考えたいという思いがあったので、止む無く以下の独自の分類を考案した。独自といっても形態など「太田地域編年」の分類指標を踏襲した点は多い。 ※各階層はそれぞれ独立に設定する。 高坏では、杯部のみあるいは脚部のみ残存という場合も多い。杯部と脚部の分類を独立させ、不明な部分を保留したまま片方だけの分類を可能とした。 分類結果 集計結果では B??b と ?4Nb が2点づつだが、特に目立って多い類型はない。杯部だけに注目すると一番多いのは「E. ハの字状に開く杯部。」次が「B. 深めの鉢状の杯部。(樽)」という結果になった。この二つの分類に関しては、更に内湾の度合いで細分することも考えたが、過度の細分化の懸念からやめた。 《杯部形態B(左)とE(右)の例》 〔左〕C14号住居45 〔右〕C22号住居22 右の高坏Eはよく見ると口縁部がわずかに外反している。南蛇井増光寺報告書の分類[2]ではこの高坏は「高坏B:体部は直線的に開き、口縁は緩く外反する」に分類されている。おぢさんの分類にも口縁部が外反する分類を設けたが、この程度の外反は外反する分類には含めない。 高坏Bと高坏Eはどちらに分類すべきか迷うケースが多かった。以下はその例。 〔左上〕C22号住居23 〔右上〕C22号住居24 〔左下〕C38号住居10 〔右下〕C22号住居27 上段の高坏を「B. 深めの鉢状の杯部。(樽)」、下段を「E. ハの字状に開く杯部。」に分類した。坏の底部から口縁端を結び水平からの角度を測ると上段は40度程度であるのに対して、下段は35度程度となっている。 [1] p.448-471、深澤敦仁 2008「太田地域における古墳時代前期の土器編年試案」 群埋文『成塚向山古墳群』 [2] p.706-707、大木紳一郎 1997「第5章 まとめ 第2節 弥生時代の遺構と遺物 1.弥生土器について」 群埋文『南蛇井増光寺遺跡V C区・縄文・弥生時代 本文編』 土器の図はいずれも群埋文『南蛇井増光寺遺跡V C区・縄文・弥生時代 本文編』から採った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.05.06 09:00:00
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