テーマ:好きなクラシック(2282)
カテゴリ:オペラ
鑑賞日:2014年1月12日(日)10:00開演 入場料:¥3,500 (スクリーン4・E列) 【制作・配給】松竹(株) METライブ・ビューイング2013-14 ヴェルディ作曲 喜歌劇「ファルスタッフ」 (全3幕、イタリア語上演/日本語字幕付) 会場:名古屋ミッドランドスクエアシネマ (MET上演日:2013年12月14日) 指揮:ジェイムズ・レヴァイン 演出:ロバート・カーセン 美術:ポール・スタインバーグ 衣装:ブリギッタ・ライフェンシュトゥール 照明:ロバート・カーセン& ピーター・ヴァン・プレート 管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団 合 唱:メトロポリタン歌劇場合唱団 出演: ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ クイックリー夫人:ステファニー・ブライズ アリーチェ:アンジェラ・ミード ナンネッタ:リゼット・オロペーサ メグ・ペイジ:ジェニファー・ジョンソン・キャーノ フェントン:パオロ・ファナーレ フォード:フランコ・ヴァッサッロ 感想: 単身赴任先での日曜日、時間が取れたので、METライブ・ビューイングを観に冬晴れの中、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマまで出掛けた。 演目はヴェルディの遺作「ファルスタッフ」。ヴェルディ作品の中で唯一死人が出て来ない作品とのこと。 開演前に、MET総裁ピーター・ゲルブによる指揮者レヴァインと演出家ロバート・カーセンとのインタビューがあり、事前にプログラムを見るまでも無く本作品にスムーズに入って行ける。 病気療養のため昨シーズンをキャンセルした指揮者レヴァインのMET復帰公演でもあり、車椅子を回転させ客席を向いたところで既にスタンディングオベーション。 レヴァイン復帰に合わせ指揮台は車椅子を下から上げ、自動で回転もするような装置を設置しており、この辺りもさすがMET。 今回の演出は、1950年代に時代設定され、舞台装置、衣装、小道具が合わされている。また原作の場面設定を変更しており、2幕2場「フォード邸のサロン」はシステムキッチンとなり、隠れているファルスタッフを探し出す際にキッチン戸棚から料理器具や調味料をドンドンと放り出す演出となり、3幕1場「ガーター亭の外」は馬小屋の中で、生きている馬が干し草を食べている横で、川に放り込まれようやく抜けだしたファルスタッフが干し草の中で起き上がる場面となり、MET客席から笑いを誘う。 3幕最後のウィンザー公園での騒動も全員が角をかぶり、照明を使ってその影が猟師の亡霊に見せたり、フィナーレの婚約パーティーでの衣装、場面の早替え等、最後まで違和感なく観ることが出来、さすがロバート・カーセンの演出。 3幕ものだが、1、2幕は連続で上演され、各場の場面転換もスムーズ。昨年からのロイヤル、スカラ座(昨年日本公演もあり)との共同製作で熟れているのでしょう。 タイトルロールのアンブロージョ・マエストリは、幕間のインタビューにもあったようにその容姿と歌声から今回で202回目の本役出演であり、円熟した演技や歌い方でファルスタッフの人物そのもの様に思える。 クイックリー夫人役のステファニー・ブライズもお得意の役で男声レベルの低音も安定しており、アリーチェ役アンジェラ・ミード、ナンネッタ役リゼット・オロペーサ、メグ・ペイジ役ジェニファー・ジョンソン・キャーノは若手だがMETのオーディションや育成プログラム出身で主役級の歌声と演技で、ベテランと若手が上手く噛み合って舞台上のエネルギーを生んでいるところがMETの歴史なのでしょう。 1幕2場フィナーレの10重唱が素晴らしい出来。ナンネッタとフェントンのアリアは若々しい恋心を歌い、ヴェルディの若者達への希望の賛歌か。 2幕1場でファルスタッフが「名誉で何が出来る?折れた腕や足も治せない。」と歌う所は、晩年政治的活動から遠ざかり、農業経営をしていたヴェルディの心境なのでしょう。 作品も演奏も正に円熟の出来で、心豊かになる新年にピッタリの音楽を楽しむことが出来た。 End お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.01.15 20:58:45
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