著者は 1955年うまれ、
なぁるほど、だから・・・
主人公の樋口さんに言わせる言葉がね、
常に全共闘世代の批判。
全共闘世代が荒らしたあとを
いかにするか、
いかに苦労したか、
うらみがある、
直接対決しない、
騒ぎに巻き込まれない姿勢
ってのも、そのせいだと。
うふふ、わかるんだなぁ。
上の世代があっけらかんと受験突入したり、
大学に入ればまだ残滓があったし・・・
1996年初出ですから11年前。
その当時の高校生ぐらいって、
今30前ですね。
第二次ベビーブーマーの終わりくらい?
というか、
著者によれば、
全共闘世代の第二世代。
そしてその子たちが、「荒れる原因のほとんどは、
両親の不仲。
あるいは両親の無責任。
若いころに無責任な生き方をした連中が
おとなになることを拒否したまま結婚をする。
子供同士の結婚には、
相手を許す忍耐や相手を認める努力が不足する。
夫婦は互いに自分の主張だけをぶつけ合う。
その結果、
離婚し、
子供はグレる。
家庭の不和、
荒れる子供。
こうした世の中は
突然できあがったわけではない。遠因があるのだ」
(うん、うん、わっかるよぉ。
常にね、
団塊の世代の行動の批判を
耳にして
少し後から追いかけていくと、ね)
(まぁね、
男女間というか
夫婦間の
この我慢しないもの同志ってのは
もちろん問題があるけれども
でも
一方的に我慢しない
この世代より前の
亭主関白が正しい
男は女より偉い
って発想の夫婦より
少し
進歩はあるとは思うんですよね。
つまり
過渡期?
いずれにせよ
集団で生活するには
みながそれぞれ
我慢しなければいけないと
思うわけですけれども
なかなか
難しいのでしょうね。
国家間で
我慢できれば
戦争にはならない・・・)
「テレビで髪の長いひどく奇抜な格好をした若者を見ると、
両親は不快な表現でそれをあからさまに批判しました。
同棲時代という劇画が流行り、
若い男女の関係がフランクなものになっていました。
両親はそういうものをふしだらだと批判するのです。
私たちは、そういう批判を聞いて育ったのです。
それが、価値観に反映しているような気もします」
「私たちは、
全共闘世代が徹底的に荒らしたあとにやってきて、
後始末をした」
(そう、そう
ほんとそうだった。
団塊の世代の批判を耳にするたびに
かばってみたり
私は違う、と言ってみたり)
警察官同士の会話:
「世代で物事を考えるのは団塊の世代の連中の専売特許だ。
俺たちはそういう考え方をしないほうがいいように思う」
「私も、上の連中の影響を受けているということかもしれないな」
「善かれ悪しかれ、影響は受けているさ。楽しそうだったもんな、あの連中・・・・・・」
「そう・・・・・・、どこかでうらやましいと感じているのかもしれない」
「まあ、全共闘世代にだってりっぱな親たちがいる」
(そうなんですよね。
一口に
団塊の世代
としてまとめてはいけない部分もあって)
リオの両親の会話:
「知り合ったのは大規模な集会で、
その後、デモ行進に移りました。
四機が側面を固め、
八機が放水車で待機していました。
革マルの先導でジグザグ行進になったとき、
四機が攻めてきました。
路上は大混乱で、
彼女は機動隊員に取り囲まれていました。
私は体を張って彼女を助けたのです」
(ふ~ん、こういう感じだったんだ。
ニュースでしか見たことない私・・・
そして、革マルと聞くと、
その頃よりも数年前までの内ゲバ?
殺人事件多数が思い浮かぶんだけれど)
「男と女というのは、
いつどうなるかわからない。
だから我慢が必要なんだ。
我慢する自身がないのなら、
近づかなければいい。
おまえさんはそれを実践してきた。
家庭を大切にし、
奥さんを大切にしてきた。
しかしね、そういう男はかえって危ないんだよ。
免疫がない」(・・・)
「団塊の世代とか全共闘世代とか呼ばれる連中は、
それなりに修羅場をくぐっている。
ふしだらな生活を恐れなかった分だけ、
男女間の泥沼にも免疫がある」
(ふむふむ、
わからないでもないわ)
「人生の選択を許されない人だっているんですよ」
(ほんと、
戦闘下のこどもたち、
ずっとそこで育って、
まだ戦闘下の大人たち、
中近東、アフリカその他。)
「アメリカの心理学というやつをあまり信用していない。
あの国はベトナム戦争以来めちゃくちゃになった。
麻薬と犯罪。離婚、アル中、ワーカホリック・・・・・・。
病的な健康ブーム、禁煙運動にセクハラ・・・・・・。
何かあるとすぐに訴訟を起こす。
国中が神経症なんだ。
そういう状態のときは、
ちょっとした感覚のずれが、
重大な心理的症状に見える。
心理学者が新しい用語を考える。
そうすると、
また新しい病気がひとつ増えるわけだ」
(そうそう、
私もアメリカってそうだと思う。
とっても危ない。
この本は9.11以前に書かれているわけだけれど。
だから、9.11以降というかブッシュ以降は、
まさにこうなのよ。そのまま突っ走っている。
それに追随している日本・・・)
本来のストーリーよりも
書きぬきしたような文章に
うんうん
そうそう
とうなづかされてばかりの本でした。
今野敏著
リオ 警視庁強行犯係樋口顕
でした。
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Last updated
Sep 22, 2007 03:17:20 PM
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