カテゴリ:グルメ・レストラン
前回からの続き。
自分自身2008年版から持っているけれど、どれくらい参考にしているかと考えると微妙だし、ミシュランガイドに否定的な意見が多いのは知っている。とはいえ、ミシュランガイドにも十分存在意義はあると思う。ミシュランについて思うことを、自分なりにいくつか書いてみたい。 ミシュランやガイド本をまったく見ないわけじゃないけど、よく見るのは雑誌の飲食店紹介記事とネット。とくに店の評価は、食べログや各種ブログなど、ネットの情報を参考にしている。 だからと言って、ネットの情報が自分の感性とどれだけ一致しているのかは微妙なんだけどね。はっきり言ってランチの評価は、その店の実力を計るベンチマークとしてあてにならないし、まったく違う印象のことも少なくない。それでもネットを見るのは、ほめ言葉だけじゃなく、それぞれの人の本音が出ているから。 またミシュランで忘れてならないのはアンチの存在。最近は強烈なアンチが存在するけれど、そのようなものは読んでいて楽しくないものが多い。アンチの最大勢力「友里氏」のジャーナリスティックな指摘はレストラン評論では斬新だったし功績を認めつつも、2chに通じる不快感を抱くことが多いのは苦手(本はネットに比べるとマイルド)。 彼の批評については、ホイチョイ・プロダクションズの東京コンシュルジュが面白い。 レストランガイドはお店に行きたくなるようなものであって欲しい。 またミシュランガイドで議論を呼ぶのは評価基準。ミシュランガイドの評価基準は「料理そのものの評価」だけで、店の雰囲気、サービス、快適さは評価基準に含まれていない(本当かどうかは別として)。公式な評価基準として紹介されているのは次のとおり。 素材の質、調理技術の高さ、味付けの完成度、独創性、コストパフォーマンス、つねに安定した料理全体の一貫性 わたしがお店を評価する基準は、料理だけでなくお店全体の総合評価なので、当然ギャップがある。とくにサービスがダメダメな店や、感じの悪い店主の店はどんなにおいしくたって評価できない。 そしてミシュランガイドを評価するのは次の2点。一つは料理人の励みになることと、もう一つは世界的な影響力があるということ。 飲食店業界は、ほかの業界と比べて低賃金・重労働であることが知られている。また経営者になったとしても、ぎりぎりでやっている店が多い。わたしにも飲食店業界で働く知人がいるが、とても厳しいと聞く。儲かる方法は経営者となってチェーン展開するくらい。 励みになるのであれば、ミシュランはありがたい。 あと今回取材をしていて、ある人が言った言葉が印象的だった。 ミシュランが本当に信頼できるものになるのには、あと10年はかかるだろう。でもミシュランが出版されたことはとても歓迎している。なぜならば世界にアピールする力があるからだ。日本のマスコミがいくら発信しても、世界で取り上げられることはほとんど無い。でもミシュランには世界的な影響力があるので、それがきっかけになって日本に来てくれる人が増えれば、それはいいことだと思う。なるほど。 収拾がつかなくなってきたので、このあたりで強引にまとめたい。人はそれぞれで好みも違うし、それまでの経験も違う。また異なる価格や異なるスタイルの店をひとつの基準で評価するのは困難だ。だから誰にでも有効な完ぺきなガイド本が存在しないのは当然。だとすれば、それぞれの特長を理解し使いこなすことが重要なのではないだろうか。 最後に映画「レミーのおいしいレストラン」で印象に残ったせりふで締めたい。辛口のレストラン批評家イーゴが自戒を込めて言う次のセリフだ。 評論家というのは気楽な稼業だ。危険を冒すこともなく、料理人たちの必死の努力の結晶に審判を下すだけでいい。辛口な評論は、書くのも読むのも楽しいし商売になる。だが評論家には苦々しい真実がつきまとう。たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味がある。 【予約】 ミシュランガイド東京2009 日本語版 気が向いたら投票お願いします→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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