『紫式部日記』岩波文庫
実を言うと久しぶりにライザ・ダルビーの『紫式部物語』を図書館で読み、その副読本として手に取ったものだ。紫式部はおそらく世界一有名な女性の小説家であるが、その生涯が詳しくわかる一次資料はそんなに多くない。逆に言えば、だからこそ骨格の上にいかようにでも肉付けができるわけで、今回小説を読み直して、その同性愛的傾向や、中国人男性との恋愛、彼女の父親が越後にやられたのは中国人のスパイをあぶりだすために道長がさしむけたのだという新説など、結構面白く読むことができた。話が脱線してしまったが、小説は当然『紫式部日記』からも取材している。読んでみて思ったのは、これって紫式部版『枕草子』ではないかということ。勿論式部の機知やユーモアは清少納言とは明らかに質が違うが、どちらも自分の「中宮の時代」とその逸話を持ち上げている、という点で共通しているのである。記録としてもエッセイとしても両者は相通じるところがある。『枕草子』と比べられるべきはこの『紫式部日記』であって、断じて『源氏物語』ではない、と声を大にして言いたいと思う。【中古】 紫式部日記 岩波文庫/紫式部(著者),池田亀鑑,秋山虔 【中古】afb紫式部日記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) [ 紫式部 ]新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集 [ 山本 利達 ]【中古】 紫式部物語 その恋と生涯 上 / ライザ ダルビー, 岡田 好恵 / 光文社 [単行本]【宅配便出荷】【中古】 紫式部物語 その恋と生涯 下 / ライザ ダルビー, 岡田 好恵 / 光文社 [単行本]【宅配便出荷】