テーマ:今日のコーヒー(5153)
カテゴリ:スペシャルティコーヒー
プロのつぶやき779「30代の仕事、60代の仕事…。」 一年で一番冷え込みの厳しい季節になってきました。毎朝の焙煎は真冬の温度管理になっています。プロバツト焙煎機に替えてちょうど3年になりました、早いものです。今ではすっかり馴染んで無意識と言いますか、直感的に使えるようになっています。 先日お届けした毎月のお知らせ葉書に…2月に息子をグアテマラとコスタリカの産地訪問に行かせると書きましたら…多くのかたから励ましの言葉を頂きました、ありがとうございます。 勿論産地行ったからと言って簡単にこーひーが美味しくなるわけでは無いのですが…「種からカップまで」の流れを体験することが大切だと思い…はじめての海外旅行で2週間以上の農園訪問となりますが、若いのでなんてことないでしょう。農園の匂い、日射し、風、夜の冷え込み等々体験してくることでしょう。 息子はまだ20代前半ですので…その時間の可能性が羨ましいのですが…談志師のCD「談志30歳」と…DVD「遺芸」が届いて…その芸人の時間を感じています。 「談志30歳」は…処女作「現代落語論」がベストセラーになり「伝統を現代に」を唱え…司会をしていた、今も続く「笑点」が日曜夕方に放送開始されたころで…30歳の勢いあふれる芸が素晴らしいです。今の真打と比較するのもなんですが…まぁ入門が16歳ですので、15年前後のキャリアが30歳にしてありますし…最近は20代での入門が多いですからキャリア15年とすると40代って感じですか…早熟ですし、天才でしょうね。 「遺芸」は…最晩年の談志師の芸をDVDにしたもので…生涯最後に演じながらも、新境地を見出した「粗忽長屋」、国立演芸場で通し稽古をおこなった「芝浜 最後の稽古」、談志通のマニアから圧倒的に支持されている「鼠穴」です。 すでにコンデションに苦しんでいる時なんですが…それでもその迫力に圧倒されます…「芝浜 最後の稽古」は高座を終えて楽屋で着替え…そのまま立ったまま40分近くの通し稽古の映像です。コートを着て、立ったままの稽古なんですが…集中しグイグイ入り込んでいくところにお驚きです…30代の芸、50代60代70代の芸と味わい深いです。 そんなこんなで…今年還暦を迎えるので、自分の職人仕事のゴールを色々と考えてしまうのですが…同世代の友人は早期退職したものもあれば…定年が目の前のものもいて…ひとつのゴールを迎えるわけです。もっとも僕はあと20年は元気に仕事しようと思っています…まだまだ稼がないと生活できないですしね…。 スペシャルティコーヒーに出会って約15年…あの頃は農産物として理想的な素材に出会い…それをどうやったら使えるのか?からスタートし…当時コーヒーの相場が歴史的に暴落していて…生産者のみなさんが継続できないような危機に陥っていた状況でした。 で、素晴らしい素材を買いたたかず、価値に見合った相場よりも高い価格で買い付け、継続持続できる関係作りがスペシャルティコーヒーの重要な柱ということで…それは素晴らしいと共感しました。 あれから15年…相場は当然乱高下がありますから…相場が上がることも想定していましたし…円安円高も自分ではどうにもできません…さらに生産者の生活の向上を目指し、それが徐々に叶えられたら、以前と同じ買い付け価格では生産者の生活が維持出来なくなることも予想できました。 生産者の生活の向上という目的は徐々に達しているようですが…そこには仕入れ価格の高騰が一緒になっています。さらに円安もかぶってしまいました。 コーヒー業界では大中の会社から個人店まで値上げしていますが…仕入れが上がったから値上げでは…お客様に負担を強いるだけになってしまいます。お客様にとって日常の暮らしのこーひーの価格ってとっても大切です。 お客様にとっての価値のある価格を実現しながら…如何にクオリティを上げ、自分の納得できる仕事をできるか?…そんな矛盾の解決がポイントになります。 そこで何にコストをかけて、どこをコストカットするか見極め…一気にはできないので時間をかけて経営の体質を改善…10年以上かけて仕入れが高騰しても値上げを抑えられるようにしてきました。 (簡単に言えば…お客様に直接関係するところはコストカットしない…直接関係しないところは徹底してコストカットする…そんな感じです。 さかもとこーひーにこられた方には…夫婦と1日3時間のパートさん2人でおやつしながらのんびり仕事しているように見えると思いますが…これが実は結構生産性高い仕事しているんですね。その辺は総合的な仕組みが出来ているからなんです。同業他店とはかなり違う店になっていますね。) そこには…今回の「アフター・ダーク」「ハートバレンタインカフェ」が良い例なんですが…良い素材を使いたい時に使えるよう妥協せずにすむようにという思いがありました。ここで、この豆使うと素晴らしいんだけど、原価率がなぁーと妥協することを避けたいと思ってます。 勿論、さかもとこーひーで一番安いブレンド…「アトムの子」「カフェヴィータ」「カフェコージー」…の100g当り300円のクオリティも同様です。ヘビーユーザーの常連さんはやはり気軽に楽しめる価格が大切です。100g当り300円でどこまでクオリティを上げられるかにかなりエネルギーを使っています。(まぁ、実際100g当り300円はかなり厳しいのですが…当分大丈夫です。) さらに最近は「ホームタウンこーひー」でカフェやレストランへの卸も少しずつ増えてきています。カフェやレストランにとってはこーひーの仕入れ原価よりも料理の原価の方が大切ですから…卸価格で出来るだけ応援できるようにしたいと思ってます。 それが、自分の60代のピークの仕事につながっていくと思っていました。そして…それが、日常の暮らしの中の「ホームこーひー」や「ホームタウンこーひー」…「上質さと気軽さ」の向上につながっていくと思ってます。 素材に恵まれ…焙煎・ブレンドの技術と感性を磨き…常連のみなさんとラリーを楽しむ…そんな60代の仕事のピークを目指しています。 「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.01.25 21:17:41
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