ブラックホークダウン リドリー・スコット
なんたる雪だるま式……それ以上の犠牲を払ってでも仲間を助けに行動する米軍の習性がひたすらマイナス方向に働いた印象を受けた。その最中にも敵を倒すし、仲間向けのアピールによって士気を上げることはできるから見た目どおりにマイナスばかりでもないのだけど。 映画だけで判断する限りの失敗は作戦の規模が中途半端に大きすぎたことにある。もっと少数で常に移動する形で行動させるか、圧倒的多数で戦線をつくって戦うか、どちらかを選ぶべきだったのだろう。 それなのにヘリボーンに溺れて突っ込み、撤退の判断も思い切りが悪かった。アメリカ軍は勝つのが当然になりすぎることでいまいち戦術の自由を失ってしまっているのではないかなぁ。 強すぎるゆえに負けたとすれば空しい戦いだ。 兵士たちの義務感や信念、ソマリア人の虚無感が描かれていたのはよかった。ただ、ソマリア側の言い分はもっと複雑だろうと思った。墜落したブラックホークを取り囲んで死体を凌辱し、虐殺を働く彼らの行動には本来はアメリカに向けるのはお門違いなものを含めた強烈な怒りを感じた。 墜落したB29に対して行われたという蛮行を思い起こさせる。その心情をおもんばかるのはあまりにも難しい。 話の締めかたとソマリアの現状を考えると余計に空しいものが募った。なんだか太平記みたいなラストだ……ソマリアに平和が訪れるのはいつの日のことか。●ネットバンキング決済・コンビニ後払いも可能!ブラックホークダウン スペシャル・エクステンデッド・カット(完全版)