星界の戦旗 第3話 突撃艦バースロイル
艦長がジントを呼び捨てしまくりで笑った。隠す気がほとんどないなぁ……土壇場ではくだならない配慮をするつもりになれない割り切りのよさといえなくもない。これではジントがいくら取り繕っても彼のお姫様になってしまうわけだ。 ジントを苦手な人間は宇宙にいないかもしれないが、どんなに苦手な人間が多くてもラフィールを得意にしている一点ですべての失点を覆していると思う。よく考えればあまり不幸な青年ではない。 三ヶ国連合の偵察部隊との戦いでジントがちょっと違和感のある独白をしていた。平面宇宙であっても航続距離と移動時間の問題があるので後方は存在するはずだ。複数門星系の特殊性は考慮しなければいけないが、ソードがあるかぎりどこでも前線というのは暴論に聞こえた。 アプティックが攻められた理由は幻炎作戦が直線的な動きをするもので充分な縦深を確保せずに進撃しているからだろう――それを承知でジントたちが配置されていたわけでもある。 まぁ、エクリュアの見事な手並みがみえてから良し。こういう細かい動きの積み重ねが練度として如実に表れてくるのが戦争だ。森岡浩之作品感想記事一覧星界の戦旗 第3話 突撃艦“バースロイル”