ありがとう、どんぐりの木さん
「植物と話ができる!」が発売になった。この中でとても重要な役割を果たしてくれているのが第四章に出てくるどんぐりの老木。僕が子どものころから実家のそばにそびえている。近くにあったのに、僕はただ遠くから見上げるだけで、近寄ったことがなかった。なぜ近寄らなかったのか、特別な理由はないけど、そういう気持ちになったことはなかった。ところが、植物をテーマに本を書こうと思ったとき、そのどんぐりの木が気になってしかたなかった。それで、生まれてはじめて、その老木の根元まで行った。そしたら、太いつたがからまっていた。決して弱っているようには見えなかったけど、つらい状態ではないだろうかと心配になった。その老木の根元にたたずんでいたら、何となくその木が話しかけてくれているような気がした。そんな話を第四章の書き出しで紹介した。本をもって、田舎へ帰った。そして、今朝、老木をたずねた。「おかげさまで本が出ました。あなたのこと紹介させていただきました」と、ごあいさつしてきた。老木は元気だった。本の文章を読み直すと、ちょっと老木を強調しすぎたかなと思った。決して朽ちかかった老木ではない。まだまだ精気がみなぎっている。ごめんな、まだあなたは老いぼれではない。そんな言葉をかけてきたのだ。今は、遠くはなれているけど、いつも見守られている気がする。ありがとう、どんぐりの木さん。