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2009.08.15
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カテゴリ:現代社会
 ガザの支配権を握っているのは「ハマス」という政党になる。イスラム世界随一の強硬派で知られる。イスラエルを認めないことでガザの世論を味方につけた。ガザ地区にはパレスチナ難民が多く、イスラエルを承認することは、故郷を失うことにつながる。帰国を願っているパレスチナ民族にとって、イスラエルは領土を奪った敵対者であり、永遠に融合することのできない民族になる。ハマスがガザの総選挙に勝利して、政権を握った理由の一つだろう。
 ガザ地区において、さらに過激な主張をするのが「神の戦士」であり、組織を率いていたのが、アブドゥルラティフ・ムーサと呼ばれるイスラム指導者になる。ハマスの行動は生ぬるいと批判する過激派勢力を形成していた。ハマスが和平派と勢力争いをしていたときには、神の戦士は役に立った。しかし、ハマスがガザの実権を握ると、独自の理論と行動を主張する神の戦士は邪魔になってくる。そこで、ムーサ師の自宅を爆破し、神の戦士に先制攻撃を仕掛けたらしい。この攻撃でムーサ師は暗殺され、拠点のモスクもハマスに占拠されたという。
 両派の争いの争点は、イスラム法の施行だった。厳格なイスラム法の公布を主張する神の戦士と自由を主張するハマスでは、思想的な落差がある。どこのイスラム世界でも、イスラム法を至上のものとする原理主義と宗教と政治を分離する世俗主義では、常に騒動が起きている。中世のイスラム法を強制されたのでは、現代人は息が詰まるだろう。音楽や踊りさえも禁止されてしまう。女性教育なども無用と切り捨てられる。イスラム世界でも、人権意識は広く認識され始めている。厳格なイスラム法の下で犯罪を犯すと、鞭打ち刑や斬首が日常化してしまう。いつ、自分が死刑台に立たされるかがわからない世界になる。
 原理主義の根源はエジプトの教義研究にあるという。イスラム諸国が現代史において敗北しているのは、コーランの教えに忠実でないゆえであり、すべてをコーランの教えのままに生きることが、現代の諸問題を解決することにつながるという思想になる。これを主張する人々を原理主義者と呼ぶ。エジプトから世界各地に広まって、思想の一大勢力をなしている。多くの原理主義者は武器や弾薬を手に入れて、現政権打倒に動くようにもなった。
 ハマスにしてみると、神の手がガザの主導権を握り、パレスチナ政策を左右する動きを警戒している。少数派の間ならば叩ける。海外には原理主義者が多数存在するから、その干渉を受けないうちに排除に乗り出したといえる。ムーサ師の自宅を爆破したりすることを見ても、ハマスの警戒ぶりが理解できる。まったく妥協しないのが原理主義の特色だから、その勢力が拡大してからだと身動きできなくなる。ムーサ師の抹殺に出たことを見ても、権力争いの激しさとその行き着く先を暗示している。





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Last updated  2009.08.16 08:45:41
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