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2009.11.28
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カテゴリ:現代社会
 ミンダナオ島で57人もの大量殺人事件が起きている。選挙の届け出に向かっていた数十人の集団が武装勢力に襲われ、全員が殺されて地中に埋められたという衝撃的な出来事である。事件の発端が、来年度に行われる知事選にあるというのがフィリッピンの政情を暗示している。殺戮されたのは、知事選の候補者一族とその支持者と取材陣というのが、虐殺事件の背景を物語っている。武装集団を率いたのが、現マギンダナオ州知事の息子だったということも、フィリピンの権力構造を示している。 
 逃亡した武装集団は知事一族の私兵とみられている。イスラム反政府勢力の存在するミンダナオ島南部では、防衛のために私兵が存在する。銃の所持や販売も自由なので、各部族は大量の兵器を持っている。州の警察幹部も知事一族の支配下にあり、事件を解明することは、自分の実を危うくすることにつながる。この地域に絶対的な支配体制を築いていた現知事は、対立する部族の台頭を許せなかったということだろう。選挙は水ものであり、反抗の芽は小さいうちに積んでおくに限ると考えたことは間違いない。二つの部族の対立が長年続いていたことも発火の要因になっている。
 アヨロ大統領とも深いパイプがあるという実力者一族なので、フィリッピンのマスコミも報道に及び腰だという。日本でも、国会議員や知事の一族が地域を支配する構図は珍しくない。選挙、人事、建設工事の受注、市長や町長を核にした人間関係などが支配体制の核になる。それを維持するために、血脈を重視した選挙がおこなわれる。その体制に反抗を企てる者は、周囲から圧力をかけられ、威嚇される。フィリッピンにおいては、この図式が暗殺や殺人にまで拡大していると考えるとわかりやすい。 
 権力を奪取する機会は選挙しかないとなれば、選挙は単なる投票の場ではなくなる。敗北すれば、知事の椅子を失うだけでは済まない。地域を統率するあらゆる人事や公共工事の受注先にまで影響が出る。支配体制が強固であればある程、それを破壊された時の打撃も多くなる。選挙結果の予測で、情勢が不利であると判明すれば、直接対立候補側を叩くのが有力な手段になる。それを主導したのが知事の息子であり、現役の町長というのが地域権力の大きさを物語っている。
 フィリッピンのマスコミは、事件の捜査が進展することに疑問を抱いている。現役の大統領と深い関係にある知事一族の捜査が進展するはずがないと判断しているという。それでも、57人という犠牲者の発生を政府が放置するわけにはいかない。武装集団には、現地の警察関係者も関与しているという情報もあるので、油断できない。57人を殺戮して地下に埋めたということは、かなりの大きさの武装集団であり、その行方がつかめないことはあり得ない。そのあり得ない事態が起きてしまうのがフィリッピンだとすると、確かに事件の解明は難しいかもしれない。





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Last updated  2009.11.28 15:16:23
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