カテゴリ:現代社会
モスクワからペテルブルクに向かう急行列車が爆破により、脱線転覆した。線路に仕掛けられた爆弾によって転覆させられたらしい。この路線では、テロによる爆破事件が過去にも起きている。クレムリンによる強権的な政策によって、ロシア国内のテロ事件は激減しているけれど、反モスクワの勢力が消えたわけではない。政府の圧力によって息をひそめているにすぎないから、テロが消滅することはない。
ロシアの敵は、アメリカやNATOだけではない。ソ連時代に支配していた東欧諸国も、反ロシアの姿勢を崩さない。ソ連時代に同盟国だったウクライナやバルト3国さえも敵対関係に移行している。さらに、ロシア国内には反モスクワを主張する民族勢力が数限りなく存在する。それらはクレムリンの弱体化とロシアの解体を目指している。チェチェンのように武力で抑えつけても、反ロシアの民族感情が鎮まることはない。 ロシアは帝政時代に領土を拡大した。第二次大戦の勝利により、スターリンはそれを東欧まで拡大した。ソ連崩壊によって、社会主義連邦は解体され、クレムリンに残されているのは広大なロシアだけになった。その統一を維持するために、モスクワは強硬姿勢を続けている。全土支配の基盤になるのが天然資源になる。ロシア経済を動かしているのは、石油や天然ガスの輸出代金であり、それが途絶えたならば破たんするしかない。 反クレムリンの包囲網が敷かれたことにより、ロシア国民も危機感を感じ始めた。ロシアの解体される日が近づいたと直感したのである。その認識が強権的政策を取るプーチンへの支持につながっている。危機の時には、弱腰の平和主義者よりも、全土を統率できる強い指導者が求められる。ところが、強権的なモスクワの支配に対しては、地方の反発が強まり、民族主義者たちの動きも活発化する。 ロシアの財政を支えるのは原油などの収入であり、それを産出できる地域は限定されている。ロシアが解体されると、多くの地域は無一文になって放り出されるという認識がロシア解体を防いでいる。それゆえに、クレムリンがロシア復権に賭ける思いは強い。武器や兵器を生産する軍事産業の育成に力を入れるのも、軍事大国の復活を思い描いている。軍事力が強化されても、鉄道爆破を防ぐことはできない。ロシアの進む道は険しくて細いから、そこから踏み外さないようにして進まねばならない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.11.30 10:12:41
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