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2009.12.28
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カテゴリ:現代社会
 イランにあるサウジ大使館に、ビンラディンの娘が保護されているという報道ほど、イスラム世界を揺るがすものはない。西欧では、ビンラディンはテロリストの親分という扱いしか受けないけれど、イスラム世界では反米の戦士という地位を得ている。サウジの国王やイランの大統領よりも支持率は高い。その戦士の娘がサウジ大使館に保護を求めたという報道は、イスラム世界に波紋を呼ぶ。
 アメリカがアフガニスタン戦争を開始した時、ビンラディンの家族は国境を越えてイランに逃亡したという。ビンラディンは家族20名とともに、アフガニスタンで暮らしていた。アメリカ軍に拘束されることを逃れるには、イランとの国境を歩いて越えるしかなかった。家族の出現に驚いたのは、イラン政府だろう。まさに厄介者を抱えたジレンマに悩まされることになる。ビンラディンがテロリストでも、家族を犯罪者扱いにはできない。といって、家族の自由な行動を許すと、イランの反体制派と手を握る恐れがあった。そこで、イラン政府はビンラディンの家族を監視状態に置いたらしい。日常生活は保障するが、自由な行動は許さないという妥協策が生まれた背景だろう。
 数年間も家の中に閉じ込められていては、やり切れなくなるのが人間になる。ビンダディンの娘はイランからの出国を要望したが、それにはイラン政府の許可が必要らしい。そこで、意を決してサウジ大使館に飛び込んだということになる。この動きに、イラン政府とサウジ政府は冷や汗を流したことだろう。ビンラディンの娘は、王家の姫君並みに扱う必要があり、不適切な対応をすると、イスラム世界の批判が集まってしまう。
 イランは反体制派との騒動を抱えている。サウジは民主派を抑えつけねばならない。ビンラディンの家族は事実上人質扱いをされているが、危険な爆弾であることは変わらない。ビンラディンと一族とサウジ政府の首脳は微妙な糸で結ばれている。ビンラディンが反サウジ王室の声明を出したら、その先は中東地域で何が起きるかわからない。イスラム世界は地下でつながっていて、各国政府もその枠の中で政策を決定するしかない。国民の不満が高まると、弾薬庫が発火するのはどの国も同じになる。
 ビンラディンはサウジ国籍を剥奪されている。しかし、家族の身分や国籍がどうなっているかは、実のところはっきりしない。イラン政府が家族を保護しながら、自由な行動を許さなかった理由は、やはり世論の方向にある。ビンラディンはサウジ出身であり、その一族は数千億円の資産を持つ富豪であることは知られている。アメリカ軍が必死に行方を追っても、ビンラディンを逮捕できないことには理由がある。各地の住民が必死にビンラディンと家族を守ってきたからだろう。ビンラディンの娘の運命を左右するのは、イランとサウジの政府であり、その先行きをイスラム教徒は厳しい目で見ている。





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Last updated  2009.12.28 21:38:48
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