2712674 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

MATRIX7

MATRIX7

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2010.01.25
XML
カテゴリ:現代社会
 アフリカには、歴史上数多くの独裁者が生まれている。国と政府を支配するには、地位を狙うライバルを蹴散らし、命令に忠実に従う部下を持つことが絶対条件になる。反乱分子を武力で制圧する必要も出てくるから、軍部に在籍する者がクーデターで権力を握ることが多い。国内の民族や宗教による対立感情も強く、国連や国際機関は民主制度を求めてくる。経済発展のためには、海外資本を導入しなくてはならず、経済の自由化も行うことが重要になる。
 社会主義政権であったギニアを自由化したのは、クーデターで政権を握ったコンテ前大統領だった。民主化と自由化は、アフリカの新しい流れになっていた。コンテは20年以上にわたって政治権力の座にあり、すべてを掌握していた。ギニアは資源大国でもあったから、海外資本もギニアに肩入れした。アルミの原料になるボーキサイトの埋蔵量は世界一であり、独占的な開発許可を得るには、権力者への接近が欠かせない。大統領の許可なくして、資源開発することは難しく、それゆえに、ギニアに賄賂政治が横行するようになった。
 政治腐敗や物価上昇に抗議するゼネストが起きるほどに、ギニアの政治情勢は悪化していた。そういう混乱期に、民主主義を掲げて立ちあがったのが、カマラ大尉のグループになる。軍部がクーデターを起こすことは珍しくないが、大尉という低い地位の人間が政権を奪取することは珍しい。当然、軍上層部があっさりと下剋上を認めるわけがない。
 カマラ大尉の打ち出したスローガンは、腐敗と汚職をなくすことが第一だった。さらに、ギニアに民主主義を復活するというテーマを掲げている。クーデターが民主主義を掲げることは珍しい。カマラ大尉は政府上層部を一掃するという強硬手段をとり、ギニアの富を独占していた政府高官を追放した。揺れていた軍上層部もカマラ大尉を認め始めていた。野党勢力もカマラ大尉を支持しているから、カマラ革命は成就する寸前にあった。
 昨年の12月、突然にカマラ大尉は銃撃される。何と、副官が裏切ってカマラの頭部を狙撃したのである。その副官は姿を隠して、狙撃が個人的な恨みによるものなのか、それとも組織による命令なのかは判然としない。重傷に陥ったカマラ大尉は権力の座から引退を決意し、大統領選挙がおこなわれることになった。カマラ暗殺を狙っていたのは、富を奪われた政府高官グループ、下剋上を嫌っていた軍上層部、資源の国有化を恐れていた海外資本などさまざまな勢力が疑わしい。おそらく、証拠隠滅のために副官は抹殺されたのだろう。カマラ革命が挫折してみると、ギニアの未来は読めなくなった。もちろん、カマラ大尉が本当に民主主義政治を目指していたのか、権力奪取の口実にすぎないのかは、永遠の謎として残されている。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.01.27 08:25:37
コメント(0) | コメントを書く
[現代社会] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.