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2010.04.25
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カテゴリ:歴史と文化
 歴史上、黒海艦隊を設立したのはロシア帝国であり、軍港セヴァストポリは、黒海艦隊の母港として機能してきた。ロシア帝国の滅亡、ウクライナ共和国の消滅、ソビエト連邦の解体によって、黒海艦隊は消滅の危機に何度も立たされた。ところが、そのたびに政治的な思惑による妥協が行われ、黒海艦隊は存続してきた。ロシア帝国も、ソビエト連邦も、ロシア共和国も、地中海へのルートを守る艦隊として、黒海艦隊を重要視してきた。黒海艦隊を消滅させることは、地中海への出口を閉ざすことにつながるから、受け入れられないと考えている。
 軍港セヴァストポリのウクライナへの返還が、2017年に迫っていた。これは黒海艦隊の所属問題で対立したロシアとウクライナの政治的妥協策になる。ソ連解体時に、黒海艦隊がウクライナに所属するのか、ロシアに所属するかで激論が続いた。その妥協策として、黒海艦隊をウクライナ側とロシア側に分裂させることにした。ウクライナは軍港セヴァストポリを2017年度までロシアに貸すことで、二国間の対立になることを避けている。しかし、返還期限が迫ってきた。
 オレンジ革命で成立したウクライナ政権は、反ロシアの姿勢を強めて、セヴァストポリの奪還を計画していた。極秘裏にNATO側への接近も企てていた。NATO側にしてみれば、セヴァトポリ軍港ほど邪魔な存在はない。そこで、ウクライナを西欧に勧誘する政策を企てた。ウクライナに経済の自由化を求め、旧ソ連の構成国を引き入れる政策になる。これに反感を強めたのがロシアのプーチン政権だった。ウクライナがロシア圏から離脱するならば、低価格で提供していた天然ガスと原油を国際価格に引き上げるという脅しを突きつけた。この資源価格の対立が激化して、ロシアによる天然ガスの供給停止という事態を引き起こしている。
 オレンジ革命は失敗に終わり、ウクライナは経済困難に立たされてしまった。経済の自由化は、経済弱者であるウクライナにとって、残酷な幕切れを用意していた。西欧化すれば、豊かな生活ができると信じていたウクライナ人にとって、経済的苦境は予想外の出来事だった。大統領選挙で、親ロシア政権が生まれた背景になる。安い天然ガスと原油が欲しいとなれば、ロシア政府と妥協するしかない。2017年度に返還されるはずだった軍港セヴァストポリスは、なんと25年間もの期間延長が決まっている。見返りとして、天然ガス価格の値引きが実現した。
 ウクライナの南に位置するクリミア半島は、クリミア・タタール人の本拠地である。ロシア帝国による占領政策によって、イスラム勢力はクリミア半島から排除された。スターリン時代には、タタール人すべてがシベリアに移住させられている。クリミア半島を開拓したのはロシア人であり、クリミア自治共和国の多数派はロシア人になる。ウクライナ政府は、南の領土がロシアであることに不満を持ち、独裁者スターリンと交渉した。ロシア人ではないスターリンは、クリミア半島をウクライナに寄贈することにした。セヴァストポリが流転の運命にさらされる悲喜劇の始まりだった。





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Last updated  2010.04.27 18:21:51
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