テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:フライブルク
カイザーシュテュールから「黒い森」を見る posted by (C)solar08 フライブルクの西、二十キロメートルぐらいのところにライン川が南北に流れています。 スイスからここ、オーバーライン地方(上部ライン地方)を通って、北上し(といっても昇るんじゃなくて下降よ、もちろん)、フランクフルト、マインツ、ローレライ(岩山)を横目で見ながら、北海まで流れるのです。 フライブルクとライン川の間に、南北に長く伸びる「カイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)という山があります。 山といっても、日本人の目から見れば丘陵、高さは一番高いところでも550mぐらい、長さ15キロ、幅12キロぐらい。 ここは森もありますが、一番の特徴は、斜面に広がるワイン用のブドウの棚田。 この山は死火山なので、土がブドウ栽培に適しているのだそうです。 山すその町や村では、このブドウでワインがつくられています。 ここのワインは、日本にも輸出されていますよ(バーデンワインBadischer Weinとして)。 昔、学生のときに、カイザーシュトゥールの村、エンディンゲンのワイン農家に呼ばれてブドウ収穫を手伝ったことがあります。 朝、五時に集合すると、まずは強いスピリッツを飲まされ(体を暖めるためとか)、それぞれ園芸バサミをわたされて、ブドウの房をひたすら切り取るのです。日本のたいていのブドウ棚(私が知っているかぎりでは)のように天井からブドウがぶら下がっているのではなくて、フェンスのようなブドウ棚なので、はさみをブドウの房の根元に入れるのが、けっこうむずかしくて、「バシッ」と指を切ってしまったりしました。 ブドウ収穫は一家総出でしていました。八十歳ぐらいのおじいちゃん、おばあちゃんも、とっても器用にちょきちょきと。 お昼になると、奥さん手作りの昼食を畑でいただきました。 今でも覚えています。おいしいヌードル入りスープ、血のソーセージ(今では食べません)、茹で野菜のサラダなどなど。そして、自家製ワインをジュース代わりにがぶがぶ。 アルコールに弱い私は、すぐにダウン。地面にねっころがりました。 昼食が終わって、ふたたび作業というのに、危うく眠りそうになりました。 夕方暗くなるまで働いたら、お百姓さんの家で夕食。 これがまたまたおいしくて、インゲンやニンジンのサラダのおいしさを覚えています。ご馳走になった上に、ちょっとしたアルバイト代ももらったっけ。楽しい思い出です。 昨日はお天気が良かったので、このカイザーシュトゥールを10キロぐらい歩きました。まだブドウは葉を出していなくて、ふと枝だけ。 カイザーシュテュールのレストラン posted by (C)solar08 山の途中には、いくつかのレストランがあります。 ブドウ農家が経営しているみたいで、自家製のワインが安く飲め、簡単な食事やコーヒー・ケーキがいただけます。 平日だというのに、お天気にひかれてハイキングをする人が多いためか、人がいっぱいで、みなさん屋外で日光を浴びながら、食事をしていました。 カイザーシュテュールのレストラン、庭に置かれた竈 posted by (C)solar08 せっかくライン川のそばまで来たのだからと、ついでにワイン川のほとりにあるブライザッハ(Breisach)まで足を伸ばしました。 川のほとりということは、つまりフランスと川をへだてて接しており、お城もある観光町です。 観光町ですから、町中にも飲食店がたくさんあるのですが、一番すてきなのはライン川の土手にあるレストラン、広いテラスにすわるとライン川が目の前に広がります。 ライン川のほとり、ブライザッハのレストラン posted by (C)solar08川の向こう側の土手は、フランスです。 実はライン川って、ちっとも美しい川ではないと思います。 日本の四万十川とか吉野川などなどの方がずっと自然に近くてすばらしい。 昔はライン川も蛇行していて、美しかったそうですが、今では船が通りやすいように、直線型にされてしまい、ただの水路というか大きな運河みたいなもの。 それでも、ここ上流にはまだ少しだけでも野生的な部分があります。 このテラスからは、フライブルクを囲む山脈「黒い森」の一部が見えて、山の景色も楽しめます。 ライン川のほとりから「黒い森」を見る posted by (C)solar08 雪がまだ頂上に見えるのは、「黒い森」の山の一つ、ベルヒェン(Belchen)。頂上は1400mぐらい。頂上までバスが出ているし、車でも行けて、頂上にレストランがあります。 母が存命の頃、一度このベルヒェンに連れていったことがあります。 頂上からはちょうど、青空に白く映える、スイスのアルプスの山並みが見えました。 山が好きだった母はこの景色を見ると、 「ああ、これでもういつ死んでもいいわ」と感嘆の声をあげました(この言葉、オーストリアのインスブルックの山でも言っていましたが)。 この三年後に母は、「骨はベルヒェンに撒いて」という言葉を残して逝ってしまいました。 親不孝の私ですが、この母の願いだけは実行しました(ほんの一部だけを細かく灰にして)。 それいらい、ベルヒェンには行っていません。 遠くから眺めるだけで、いいのです。 ライン川の白鳥とカモ posted by (C)solar08 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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