先日購入したアガシと同クラスの高級時計メーカーの一つに「トーション」というメーカーがあります。このメーカーは1907年から1921年までのたった14年間だけ存在し、最後は米国ウィットナー社に吸収されます。今回はそのウィットナー社の1960年代のものと思われる懐中時計です。
ムーブメントはETA社製Cal.2853というデイト付17石手巻きセンターセコンド6振動11.5リーニュです。腕時計用の汎用ムーブですね。しかも、恐らく自動巻ムーブとの共用設計と思われる形状をしています。
やはり腕時計用のムーブを懐中時計に転用する姿というのは、あまり美しくないですね。この時代まで下ってくると、ウォッチの主流はすっかり腕時計になってしまって、懐中時計は日陰の存在になってしまいます。当然、懐中時計専用ムーブもすっかり種類が少なくなってしまいます。
とは言え、「なんだETAか。」とか言うことなかれ、当時は「猫も杓子もETA」ではなかった訳ですから、現代のETAポンとは少々意味が違ってきます。
また、この時代のムーブメントは耐震機構が入っているので、安心して日常使いができますし、こう見えても現存しないオールドムーブメントですから、これはこれで面白いのではないかと。値段も、状態の割には激安です。