紫苑交響楽団第30回記念定期演奏会(賛助出演:2017/9/3)
2017年9月3日、記念すべき演奏会にお声がけいただきました。今回で5回目のお邪魔となりましたが、大編成の難曲へのチャレンジ。私にとっても今年の一つのヤマ場であります。*紫苑交響楽団 第30回記念定期演奏会 *●日時: 2017年9月3日(日) 13:00開場 14:00開演 13:15~ ロビーコンサート ●会場: 京都府長岡京記念文化会館(※アクセス下記参照) ●客演指揮: 森口真司(首席客演指揮者) ●入場料: 900円(全席自由)プログラム: ◆ドヴォルザーク / スラヴ舞曲 第6曲、第15曲、第5曲、第12曲◆マーラー / 交響曲第9番☆長岡京記念文化会館へのアクセス☆ ◆阪急「長岡天神」駅より、西へ徒歩6分 (*)阪急「長岡天神」駅までの所要時間目安 「梅田」から約30分 「河原町」から約12分◆JR「長岡京」駅 西口よりバス7分 「開田」もしくは「文化センター前」バス停下車すぐ長岡京記念文化会館アクセス:http://www.nagaokakyo-hall.jp/contents/access.htmlホールは夏の期のホームグラウンド(?)長岡京記念文化会館。客席数は約1,000名と中ホール規模ですが、ステージは結構広くって、マーラーの大編成も十分乗ることが出来ました。 ホールのタイプとしてはいわゆる「シューボックスタイプ」という、ザ・シンフォニーホールとか栗東のさきらと同じタイプです。これらのホールは、お客様が入る前は低音が抜けず、音の反響も多くてリハーサルしにくいのですが、お客様が入ると高音の反響が減り、相対的に低音のボリューム感が上がります。今回もリハーサルでは「低音ちょっときこえにくいかな」というご指摘をいただいたのですが、本番は持ち直したようです(本番にリキ入れた人が居る、という噂も・・(笑))記念演奏会ということもあってか、ほぼ満員御礼、定員1,000人のところに920名あまりのお客様。ほんとギリギリ(笑)。これだけのお客様の熱気をいただけるのって、ありがたいですね。 私の乗り番、プルト、弓は以下のとおりです。さすがにマラ9の後では、アンコールはありません。 ・ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 第6,15,5,12曲 (3pult中)2pult out (独弓)extnder-C(No.12) 演奏回数:初 ・マーラー:交響曲第9番 (4pult中)2pult out (独弓)extnder-C 演奏回数:2回目 弦の編成は、上から6.5-6.5-6-5-4pult (マーラー)高弦が薄い感じになる分、全員2割増しくらいの音量が出るメンバー。バランス的には管も入った最強奏以外は問題なく感じました。配置は変則対向配置。マーラーの9番は2ndVnの比重が非常に高い曲なので、対向配置にして2ndを客席側に出すことが多いですが、通常の対向配置にすると今度は低弦が下手側になり、低弦+バスクラと、金管低音+ファゴットで低音が大きく二手に分かれてしまい、アンサンブル的には難しくなります。そのため、今回はチェロとコントラバスは上手に入り、1stVnの隣にVaが入る、という並びとなりました。以前にセタフィルのマラ9でもこの並びは拝見していて(弾きにではなく、聴きに)、確かにマーラーでは良い効果を上げていました。欠点としては、「古典にむかない」ということで、この並びでモーツァルトやベートーベンやると、内声隊が分離してしまい、刻みの合わせが難しくなってしまいます。今回は前プロもドヴォルザークで、2nd/Vaというくくりだけの曲でもないことから、特にハンデはなかったように思います。 コントラバスメンバーは、マーラーのために増強されて8名体制(ドボルザークは6名)。団員の方2名と、関西グスタフ・マーラー交響楽団の7月公演(マラ4)出演メンバー4名、近隣の長岡京市民管弦楽団のベテラン2名(マラ9経験済み)という、マーラーへの理解溢れるエキストラ陣でした。エキストラ同志はほぼ全員すでに顔見知り、ということで、良いチームワークがとれました。さらに特筆すべきは、5弦の数。団員お二人が5弦で、さらにエキストラ陣も5弦が3名、エクステンダーによる低音拡張できる楽器が2台、計7台でのコントラDやCは、強烈でした。私もここまで低音が出せる楽器編成は初めてだったように思います。 演奏会は冒頭のドボルザークから、各曲に拍手が入り、マラ9の後は早めに叩かれようとした拍手も沈黙してしまい、暫しの無の世界から巻き起こる拍手、そしてあちこちから飛び続けるブラボーの声、演奏する側が大感動をいただいてしまいました。満員のお客様の拍手と声援、こんな素晴らしい場に立てて幸せ、としか言い様がありません。 ドボルザークのスラブ舞曲は、ブラームスのハンガリー舞曲と並んでアンコール曲の定番みたいな感じですが、以外と演奏する曲が偏っていて、特にスラブ舞曲はほとんど1番、8番、10番と言うところではないでしょうか? 私もそれ以外というと3番しかやったことありませんでした。ところが、今回はそこに一気に4曲!しかも順番どおりでもなく。実はこの選曲と並び、次の曲、マーラー9番の各楽章の調性と対応したものなのです。6番(ニ長調)、15番(ハ長調),5番(イ長調・・イ短調のものが無かったそうで),12番(変ニ長調)、というもの。おかげでスコアは全部持つとスラブ舞曲全集分(第1集の5,6番、第2集前半の12番、後半の15番)。マーラーのスコアの3倍くらい分厚かったです(笑)。 個人的には舞曲が好きなこともあり(スラブ舞曲も全曲を高校時代から聴いてました)、しかも紫苑さんの精緻な前プロのレベルから、期待いっぱいでした。もう練習時点から素敵な音楽が出来ていて、とにかく練習から本番まで幸せいっぱいでした。これで私の演奏曲は1,3,5,6,8,10,12,15番と全曲のほぼ半分になりました。あぁ、残りも紫苑さんでやって欲しい。(笑) さて、マーラーです。9番です。以前はプロでも「特別な時」の曲だったようですが、最近はアマチュアの記念演奏会での選曲もかつての「第九」から「復活」やこの「マラ9」となってきました。技量の向上畏るべし、です。私がマラ9の生演奏に出会ったのは、学生時代。学生オケの70周年記念演奏会でした。その時のメンバーは、学生指揮が奇しくも今回団内指揮のK先輩。そして当時Vcトップであった森口氏が客演指揮として、今日の場で一緒になりました。その時は私はマーラーは降り番で、専ら聞く方でした(といってもパート練習含めほとんど聞いていたような気がする)が、約30年の時の流れにはさすがに感慨を持ちながらの演奏でした。そして八幡市民オケでのマラ9初演奏の時も森口先生。5年前ですが、そこからの変化、進化も感じながらの演奏でした。 マラ9は不思議な曲で、奏者、聴衆の集中力を嫌が応にも高め、曲の中に吸い込んでしまいます。今回も冒頭のホルンと弦からすでに別世界が目の前に現れ、弦も管打もその中に吸い込まれていきました。さすがに難曲、各楽器とも技術的に難しいパッセージの上に、旋律も伴奏も楽器を変えて受け継がれていくためにアンサンブルも複雑怪奇、曲のプレッシャーに負けそうになる瞬間も所々ありながらも、終楽章の弦楽器群が残るちからのすべてを曲に捧げるかのように、音は尽きて静寂に戻っていくことが出来ました。 やっぱり凄い曲です。単純に好きな曲とか言うのではなくて、偉大な曲、としてひょっとしたらこれからも対峙する機会があるかもしれません。その度に、その時の全身全霊でぶつからないといけない曲のようです。 紫苑交響楽団さんでの演奏履歴(通算5ステージ目)です。 ・2014/2/16 第23回定期演奏会 長岡京記念文化会館 ・2016/2/28 第27回定期演奏会 八幡市文化センター大ホール ・2016/9/4 第28回定期演奏会 長岡京記念文化会館 ・2017/3/5 第29回定期演奏会 八幡市文化センター大ホール このようなハイレベルなオケでの演奏機会を与えていただけるのは、ほんとありがたいことです。 いつも勉強しながら、プレッシャーにチビリながら、でも練習の時点から溢れている素晴らしい音に感動しながら、隅っこに紛れさせてもらっています。 演奏終了後、演奏会場からも車でのアクセスが出来ることから、打ち上げにも参加させてもらって、尊敬する指揮者、コンマス氏、各楽器の素晴らしいプレイヤーの方々、エキストラの方々とご挨拶、お話しする事が出来ました。ただ、なにせ大勢の皆さんでしたので、残念ながらお見かけはすれどお話し出来なかった方も多数・・練習中はしゃべれないオーケストラという形態だけに、打ち上げが貴重なお話し出来る機会なのですが・・残念です。八幡オケのメンバーも随分聴きに来てくれていたようで(差し入れまで頂いてしまいました・・)、後になって緊張しました。写真は、ドボルザークのめくりに工夫した譜面、マラ9の今回の譜面、そして真ん中は学生時代のマラ9の譜面(=八幡で5年前に演奏した譜面であり、また学生時代のマラ9指揮者だった井上道義先生に、5年前の母校のマラ9再演の折にもらったサイン入り)、そしてちらりといただいた差し入れ。 以下が過去の演奏経歴です。(293ステージ目) ■ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 第6,15,5,12曲 ・(初) ■マーラー:交響曲第9番 ・森口 真司/八幡市民オーケストラ(2012/5) 次回の紫苑交響楽団は、来年3月4日、KOBELCOホールにバブアゼ氏をお迎えして、ベートーヴェンの第8交響曲と、ラフマニノフの第2交響曲とのこと。精緻なアンサンブルでのベー8、そして弦楽器の力が炸裂しそうなラフ2、と今から楽しみなプログラムで次の5年が始まることとなります。素敵な演奏会となりますように。