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2008.11.26
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カテゴリ:今日読んだ漫画


蟲師【10】 漆原友紀著

詩のように美しい物語だった。

深い山、滴る緑、地の底を流れる光の川。
淡く揺らぐ光に心奪われるとき、人は蟲にからめとられていく。

蟲――思考を持つというわけでもなく、ただ本能に従って在る様に在る、此処と異界の狭間に生きるモノ。。。想像の産物と言ってしまえば、そうなのだけれど、それらを通して世界を見ることで、私たちの失った感覚―自然に対する恐れや、敬い尊ぶ心、美しさに感動する気持ちといったもの―がありありと浮き彫りにされる。不思議に心揺さぶられるのである。

10巻は「光の緒」「常の樹」「香る闇」「鈴の雫」の4編から成る。

「光の緒」
蟲師が妖質と呼ぶ光るモノを糸のように紡ぎ出せる女とその息子の話。何となくお伽話のような雰囲気を持つ、珍しく明るい結末のお話。

「常の樹」
里の守り神のような1本の大木の、長い長い記憶を受け継いでしまった男の話。人間のキャパを超えた記憶を一人の人間が持つというのは、なんだか空恐ろしい気もする。大木が山や里を長年やさしく見守ってきたことを思わせるラストが感動的。

「香る闇」
時の回廊をぐるぐる回り続けるような、少しSF仕立ての話。
何度かからくりに気づいてしまいそうになるけれど気づかずに来た。しかし、そのループはギンコによって破られる。しかし、新しい時を刻もうとしたその時。。。

「鈴の雫」
山からヌシに選ばれた少女の話。
ヒトはヌシになれるのか。少女は山と一体化していくに従って人間性を失っていく。しかし、ふとした拍子に人間であることを思い出してしまう。兄や親を恋しく思う少女はもはや山と一つにはなれなかった。

――ならばヒトは山から外れていくことになる
   山の声の届かぬモノになる

この言葉が重く響く。
ギンコは「ヒトも山の一部」だと、「決してはずれはしない」と言ったけれど、果たして現代に生きる私たちはギンコのように胸を張って言えるだろうか。

そんな風に懐疑的にならざるを得ない時代。
だからこそ、今この物語が必要なのだろう。

 

 

物語はここで終わってしまうけれど、ギンコの旅はこれからも続くらしいことが、私は嬉しい。

美しい物語を、美しい余韻を持って幕を降ろされたことに心から拍手を贈りたい。

 

 






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最終更新日  2008.11.29 21:25:35
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