共産主義の崩壊に決定的役割を果たす
共産主義の崩壊に決定的役割を果たす 事業面に対して、文鮮明先生は完全に収支計算の次元を超越しておられた。普通の賢明な事業家なら、これほど愚かな事業を誰が始めるだろうか。 しかし、先生は常に尋ねられた。「おまえの生命をいくらなら売るのか? その値段はいくらか? 十億ドルや百億ドルでおまえの生命を売るのか? 私がワシントン・タイムズを作って共産主義を解放し、抑圧の中で死んでいく数千、数万、数億の人類を救い出すことに寄与したなら、十億ドルはあまりに安い代価ではないか。百億ドルでも気兼ねするだろうか。生命までも覚悟したのに!」 この精神がワシントン・タイムズ創設の精神であり、この精神のゆえにワシントン・タイムズはその本来の目的を達成したのである。 一九九二年八月二十二日、韓国ソウルのヒルトン・ホテルで開催された「第十二回世界言論人会議」(主催=世界言論人協会)<4>において、文鮮明先生は「二十一世紀の言論の使命」という題目の下に創始者演説をされた。その演説の中で、文先生はこう語られた。 私がワシントン・タイムズを創設して十年という歳月が流れました。この十年が経過した今日、結果はどうなったでしょうか。 共産圏では、一九八九年十一月九日にベルリンの壁が崩れました。一九九一年十二月二十五日のクリスマスの日を期して、七十四年間、世界人類を恐怖のるつぼに追い込んだ無神論に立脚した共産主義帝国ソ連は、ついにこの地上から姿を消してしまいました。 私はワシントン・タイムズがこの仕事のすべてをやったとは思いません。これはただ神様の摂理歴史の中で起こるべくして起こった必然的な結果である、ということに間違いはありません。しかし、神様がこの地上でなされるすべての役事(み業)は、地上の人間を通さなければならないことを、われわれは忘れてはなりません。 私はワシントン・タイムズが、共産主義の終焉をもたらすにおいて決定的な役割を遂行してきたことについては、微塵の疑いもはさむ余地がありません。 神様はワシントン・タイムズを道具としてお使いになり、歴史に空前絶後の存在であった共産主義という独裁勢力に終止符を打ち、抑圧された数千万の市民たちに自由をもたらすにおいて、決定的な役割を果たすようになさったのです。このことにわれわれが十億ドルでなく百億ドルを投資したとしても、これ以上にもっと貴い投資がほかのどこにあるでしょうか。 感動的な結論であった。この演説のうちに、われわれはワシントン・タイムズを成功<5>に導いた底力が何であるかを、しっかりと見ることができる。 ワシントン・タイムズは発行部数約二十万部で、世の中から見れば赤字を出している企業である。だが神の目から見れば、この新聞は救世主の道具として、世界人類を救出する神聖なる神の武器である。*注(4)第十二回世界言論人会議 「言論媒体と倫理世界」を主題に、元駐日米国大使ダグラス・マッカーサー2世、歴史家ポール・ジョンソン、ITARタス通信社長ヴィタリー・イグナチェンコ、米紙サクラメント・ユニオン編集局長ジョセフ・ファラ、新華社通信外報副部長ユ・ジャフら約百三十名が参加した。(5)ワシントン・タイムズの成功 創刊十周年に際して、各界各層から多数のメッセージが寄せられた(肩書きは当時)。■ロナルド・レーガン前大統領「ワシントン・タイムズはワシントンのもう一つの新聞となることで、討論の場を作るとともに、私たちに事実に基づいた、責任あるニュースを提供してきました。タイムズが創刊されたのは、私が大統領に就任して二年目の年でした。私のワシントンでの日々を振り返る時、私はタイムズとの関係をなつかしく思い出します。皆さまもご存じのように、大統領と報道機関は極めて特殊な関係にあり、それは時にぎくしゃくしたものになることもあります。しかし、タイムズも私もワシントンでの試験に合格したのです。タイムズのスタッフは、社会と国家に果たした長年の労苦に大いに誇りをもっていいと思います」■アレクサンダー・ヘイグ元国務長官「私の見るところ、自由には不可欠な二つの要素がいつも伴います。一つは勇気であり、もう一つは真実の価値の認識です。私はワシントン・タイムズの過去の献身的な活動は、この自由の二つの要素をいかんなく発揮してきたと思います。往々にして、私たちが因習的な観念に捕らわれやすいワシントンにあって、タイムズは勇気をもって真実を語ってきました。また、タイムズは創刊時から、真実の価値の明確で本質的な認識にのっとって報道してきました」#ジェシー・ヘルムズ上院議員(共和党)「タイムズは次のような業績を挙げました。(1)ワシントンで自ら『エリート・ジャーナリスト』を任じている者たちを、その報道で毎日のように出し抜き、彼らの傲慢な鼻をへし折ったこと。(2)真実を知らされていない多くの市民に、ワシントン・ポストの子供だましに似た虚報を盲目的に信じるのではなく、自分自身で考える手段を提供したこと。杖が曲がっていることを証明する最善の方法は、その横に真っ直ぐな杖を置くことです。タイムズの皆さまはその真っ直ぐな杖です」 (「世界思想」誌一九九三年八月号から)