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2005年12月03日
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1981年秋風の吹き始めた頃、赤坂港荘に集うゴミ野郎達にもそれぞれ現実の厳しさが忍び寄って来ていました。
まずは立川で更正して働いているはずのヤスオが、突然赤坂にやってきてシンデレラに就職しました。結局立川ではニッチもサッチも行かなくなってしまい、またもや委員長やシンジ、ユウジを頼ってやって来たのです。
しばらくは住むところも無いので港荘に居候することになりました。

続いて変人ニックがキクゾーと二人転がり込んできました。
彼等は金策に困り、バンス(前金)を貰って上野のスナックに勤め出したのですが、どうもタコ部屋に近い怪しい店だったのでトンコしてきたとのことでした。

「なんだよ、それじゃお前等バンスだけパクったのと同じじゃん」

「いやー、そんなこと言ったってロニーさん、やばかったんすよ。下手したらシャブでも売らされそうで、俺等犯罪者には成りたくないっすからね」

っていうか、お前等がすでに犯罪を犯してるんだろうって感じです。
ということでしばらくは影を潜めていたいのでここに住まわせて下さい、というようなことになってしまいました。
いやはやこれから年の瀬を迎えようという慌しい時期に、コトの他やっかいな奴らが集まり出してしまった港荘は益々如何わしいアパートとなっていきました。

夏場はエアコンのおかげで天国のようでしたが、寒くなってくると暖房器具はユウジが持ってきたコタツしかありません。
楽器やレコードが散乱する傾きかけたボロアパート、むさ苦しいゴミ野郎達がコタツに足を突っ込んで寝ている姿は、まるで粗大ゴミ捨て場のような雰囲気でした。
しかもこのコタツは本当に道で拾った粗大ゴミで、脚のひとつの留め金が壊れていて、その脚に触れようものなら音を立ててコタツのやぐらが崩壊してしまうという、爆弾ゲームのようなシロモノでした。
夜中寝静まって熟睡に入りだす頃、突如としてガシャーンという音を立てて崩れ落ちるやぐらコタツ。
「アチっ、アチーっ!」
「寒ぃー!お~寒っ!」
「なんなんだよぉ」

冷え冷えとした暗くて寒い部屋の中、コタツ仲間一同は眠い目を擦りながらやぐらの脚をはめ込んで組み立てるという作業を行わなければなりません。
なんの因果でこのようなゴミ野郎達と寝食を共にしなければならないのか、全ては身から出たサビとは言え、時に涙する夜もありました。(大げさなやっちゃなあ)

さて、赤坂シンデレラもこの頃はかなり末期的状態に陥っており、週末ですら一回転するかしないかというくらい客足は落ち込んでいました。
こうなってくると店閉まいの噂が誰からとも流れ出し、店の雰囲気もより一層暗くなります。そんな閑散とした平日の暗いディスコ・シンデレラにちょっと玄人っぽい方が委員長を尋ねてやって参りました。

それは新宿ビバヤング時代の先輩オオイケさんの兄貴分のHさんでした。

「こんなトコにいたとはなぁ。元気そうじゃネェか」

「はい。まあ何とか生きてます」

「実はオオイケがよパクられてよ、小菅に入ってんだよ。面会に行ってやってくれるか」

「オオイケさんパクられちゃったんですか」

「まあ小便刑だから長くはかかんないと思うけど、行ってやってくれよ。喜ぶと思うから」

しばらくオオイケさんにも会っていなかったのですが、まさか収監されているとは知るはずも無く、Hさんの勧めで東京小菅の拘置所に面会に行くこととなりました。
殺風景な小菅は寒風が吹き荒み、拘置所の中も更に冷たい風が身に沁みる暗くてどんよりとしたところでした。渡された面会申請書に冷たくなった指で安物のボールペンを握りしめてを公式文書を完成させます。
漢字も随分と忘れていたし、職業とか続柄関係とか、どう書いて良いか分かりませんでしたが、そこはそれ根がファンキーですから、「音楽家」とか「元隣人」とかふざけたことを書いて提出しました。

金網の向こうに現れたオオイケさんは意外にも元気よさそうで、委員長の顔を見るなり驚きもせず矢継ぎ早に喋りだしました。

「いやー、今ラジオ聴いててよ、結構ファンキーな曲がかかったんで踊っちゃったよ。どうだみんな元気でやってるか?」

「みんなって誰ですか?」

「バカヤロ、誰だって良いんだよ。おまえの周りにいるヤツが元気かって言ってんだよ」

「はあ、なんとか元気でやってます」

「あのよぉ、時間がもったいないからよ、とにかく何でも良いから喋れよ」
そう言いながら隣に座っている担当官のをチラチラと見ながら喋り続けるオオイケさん。

「アニキから聞いたよ。赤坂シンデレラに居るんだって?相変わらず女泣かしてんのか」

「人聞きの悪いこと言わないで下さいよ」

「今度シンデレラでパーティでもやってやるからよ」

「そんなことはどうでも良いですから、体大事にして下さい。あとでHさんに言われた差し入れしておきますから」

そんな感じで意味も無い会話を20分ほどして終わりました。
拘置所の前に、とにかく何から何まで色々な品揃えで、お菓子から漫画から、無いもの無いってくらいのもを売っているお店が一軒ありました。
Hさんに言われたとおり、そこに入ってコミックを2冊とお菓子を一箱買ってオオイケさんの名前を書いて領収書をもらいました。
なんでもこの店は差し入れ屋だそうで、買った商品はこの店から収監されている個人へ届けられるそうでした。
差し入れといっても空港の税関のような検閲があって、個人で持ち込んだものなどの中には脱走用の小道具が忍ばせてあったり、タバコや酒などが紛れ込んでいたりすることがあるのでかなり厳しい検査を通さなくてはなりませんから、大方のモノはこのお店で買って差し入れの代行をお願いする仕組みになっています。
上手い商売だなぁ、などと感心してしまいましたが、絶対に自分はこんなところに厄介にはなりたくないと切実に思いました。

ということで、こうしてプロの道に入ったオオイケさんも委員長の知らぬ間にしっかりと修行を積んでいたわけで、人はみなそれなりに自分の人生を全うしなければいけないなぁなどとも反省した委員長でしたが、時代はいよいよ年の瀬にむかって怒涛のクライマックスを迎えるのでありました。





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最終更新日  2005年12月03日 06時51分11秒
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