夕子の推理
夕子「あなた、もうやめておいたほうがいいわよ」私「あのね、俺のコラムの師である山本夏彦さんがね、自分の読者の特定の女性をたたえるコラムを書いてたの。公表という意味では同じだろ」夕子「でも、相手は一人暮らしの独身女性で、立派に自立してるんでしょ。警戒されるわよ」私「そしたら、書き込み行くのあきらめるよ。だけど、彼女もちょっと意地悪なんだよ」夕子「あ、そういう言葉使うと、完全に嫌われるわよ。で、意地悪って何よ ? 」私「いつだか、鉄人28号のジオラマの追い込みやってたのかな、訪問、書き込みおろそかにしたことがあったんだよ」(行変え)「それで、数日ぶりに日記いっぺんに読んで書き込みしたら、レスくれたの。これがちょっとした殺し文句だったよ。『ご訪問がないと、少し寂しい気がします』ってね。これ、頭がボーッとなって、2,3時間、何度も読んだもの。彼女も罪な人だよ」夕子「ははあ・・・」私「何だよ ? 」夕子「甘いなぁ。それ、もう少し深く解釈してみなさいよ。とても寂しいじゃなくて、少し寂しいでしょ。彼女、割りと軽く書いたのよ。あなたも、困った人ね。それですぐジョーク交じりに書き込み返したの ? 」私「いいや。喜び勇んで、新しい書き込みしに行ったの」夕子「なるほどね。うーん、例えばね、『私も少し寂しかったんですけど、趣味の模型に没頭して、ついうっかりしてました。ハハッ、失礼』ぐらいで、軽くお返ししとけば良かったのよ」私「いいよ、もう・・。親子ほど年齢が違うはずだから」夕子「どうしてわかるの ? 」私「海を見つめる画像で推理したの。で、どこかあどけなさを感じたから、中三から高二くらいって。で、現在は六年経ってるから、21から23くらい」夕子「ふうん。あ、それからもう一つ。女のカンだけどね、あなた変なプロフィール書いたでしょ。あれ、カモフラージュなんて書いたから、かえって怪しまれたはずよ。ホントは日記閉鎖した主婦じゃなくて、彼女でしょ ! ! 」私「ちがうよ。言ったろ、メッセージはもらってないって。だいいちね、彼女はメッセージ拒否する設定してるんだよ。ガード固い証拠だろ」夕子「それは向こうの話。彼女からはメッセージ可能でしょ。わたしね、あなたに送られたメッセージ、わかる範囲で再現してみるわ」私「よせよ。失礼だろ」夕子「そう思うのなら、こんな日記書かなければいいでしょ ! 」私「だからいいの。今度こそ怒られたら、いずれ一人暮らしの孤独老人になる練習にもなるし・・」夕子「無理してるわね。でも、日記閉鎖した主婦が今頃、メッセージ送るかしら」私「だから、前のだよ」夕子「あなたが日記で妙なメッセージ書いた夜、彼女から何も書き込みなかったわね。あなた、あの夜、すっごく気になったんじゃない ? 気分を害したんじゃないかとか・・」私「だからあれは過去の主婦からのメッセージだって・・」夕子「ふふッ、例えばね、彼女からの奇跡的メッセージだとするでしょ。それをあなたは、趣味が婦女暴行だとか、職業が泥棒協会とか、くだらないこと書いたでしょ。あれを読んだ彼女の気持ち、わたし、二通りに解釈出来るわ」(行変え)「まず奇跡的にいいほうから。rainbowmaskさんって、傑作なパロディするのねって軽く受け流してくれたってこと。さて、もう一つはね・・、いい、ここからが肝心なとこよ。彼女は一人暮らしでがんばってるしっかりした女性なのよ。それでも、部屋に落ち着けば、パソコンを開いて、退屈か淋しい気持ちかどっちかをまぎらわそうとするでしょ」(行変え)「それで、あなたが、日記全部彼女の礼賛を書いたお礼の気持ちとして、心を込めてか、軽い気持ちか、でもとにかく、きちんとしたメッセージを書いて送った」私「だから、若い娘さんから俺になんか、メッセージ来てないよ」夕子「わたしの話を聞きなさい。仮説なんだから。そのきちんとしたメッセージに、日記には書けない、やや具体的なプロフィールをきちんと書いて知らせてくれた」(行変え)「それなのに、あなたは、悪ふざけのパロディを日記にしゃあしゃあと書いた。彼女、せっかくのメッセージをけがされた気がして、いやな気持ちになった。一晩無視して、せめてもの抗議をしたっていうのが、わたしの推理」私「でも、次の夜は書き込みしてくれたよ」夕子「わたし、あなたの日記しか読まないけど、書き込みは目に入るから読んだわ。でも・・フフッ、彼女の書き込み、とっても短かったわね」私「だからどうしたんだよ ? 」夕子「彼女は大人の女性ってこと。お友だちも多いだろうし、楽天日記なんか、彼女の生活のほんの一部に過ぎないってことね。こういう日記を書くと、今度こそ、撃退されるわよ」私「いいよ。だから、独居老人生活への準備と考えれば・・」夕子「こら厚和(ひろかず)ッ ! ! 」私「なんだよ、お袋みたいにッ ! ? 」夕子「あなた、誘導尋問にひっかかったってこと、気づいてないの ? 」私「なんだよ」夕子「たった今、次の夜は書き込みしてくれたよって、つい言っちゃったでしょ。バアカ。バカものッ ! ! 」私「違うね、例えばの話だよ」夕子「ま、いいわ。プロフィール復元に入るわ。メール送るから待っててね」〇 〇 〇子19 ? ? 年〇月〇日生まれ趣味 ? ?(rainbowmaskさんとは違いますね)血液型 ? 型元? ? 。日記等では ? ? になってますが実は? ? を取得して ? ? 所属。? ? =事務所(みんな事務所と言っているので)彼氏 本当にいません。(? ?なんて? ?職以外はみんな 女)と言う〇 〇 〇子です( ? ? )私「これじゃ、誰が本人だとしても、気づかないよ。特にメッセージってのはね、本人の手許には残らないから、何書いたか忘れてるかも知れないよ」夕子「もし、送信まもなくなら、改めてパロディ読めば、気づくに決まってるでしょ。なんたって、若い娘さんなんだから」私「まだ、言ってる。何の証拠もないぞ」夕子「彼女のがまんにも限界があるわ。最後の推理言うわね。『私の日記のことをたたえて下さった、初めの日記はうれしく拝見しましたが、500回を超えた記念で、以後、神経を逆なでしないと書いて下さったはずです。でも、こうしばしばでは、恥ずかしいし、困ります。これきりにして下さい』って、書き込みがあるかも知れないわよ。覚悟しなさい」覚悟しました。でも、夕子殿の見当違いも甚だしい推理もまた一興なりと感じたので、したためたまでです。決してからかってなどおりません。私はどなたにお詫びすれば良いのか、わからなくなりました。でも、お詫び致します。夕子「見えすいたことを・・」私「うるさいね、早く今度の日曜、ツーリング楽しんで来い ! 」夕子「そんなことより、自分のことを心配しなさい ! 」大きなお世話だ、42の年増女め。追記 : 本日、散髪に行った。終わり近くのこと。最後の部分を担当したのは髪の長いきれいな娘さんだった。娘「整髪料は何になさいますか ? 」私「えーと、前に来た時、フケが出にくいのを何だったか教えてくれた人がいたんだけど・・」娘「それ、私です。トニックですって言いました」私「え、私を覚えてるの ? 」娘「はい。風邪で苦しそうにセキを押さえてました」私「すごい、記憶力抜群 ! ! でも、ホントに ? 」娘「あの時、帽子をかぶってましたから」私「あ、そう。君はこの店で一番キュートだね」この言葉、聞き取れなかったみたい。お勘定の時。私「今度の時も、君がいいって、指名出来る ? 」娘「はあ・・」私「いえ、悪い冗談。お忙しいところ、ごめんなさい」娘「いいえ、どうもありがとうございました」うーん。今回は余り弾まなかった。また、行こっと。まあ、そのぉ、年をとると、若い頃言えなかったことも、図々しく言えるようになるが、その代わりお姉ちゃんには無視されるみたい。