NCIS~ネイビー犯罪捜査班 20 #449 Old Wounds
『パートナー』ベテランの俳優さんの実力をまざまざと見せつけたエピソードですね。さすがです。また、脚本にジミー役のブライアン・ディーツェンが加わっているというのも、感慨深いです。機密扱いの物資を積んだトラックがギャングに襲われ、移送していたシムズ大尉が死亡していた。積荷は海軍巡視船が押収した違法なドラッグで3箱分で、末端価格にすると300万ドルになるという。現場にはこぼれた錠剤が落ちており、刻まれた「W」という文字にパーカーは反応し、マクギーたちをよそ目に姿を消してしまう。この錠剤は10年前に流行した偽造薬で、クレイトン・ウィルズの薬だった。翌朝出勤したパーカーはこれまでにない高圧的な態度でチームを叱責する。明らかに怒りを隠せない態度でケイシーに凶器となった銃弾について調べろと当たりちらし、これからウィルズの弁護士と話をするという。クレイトン・ウィルズはITベンチャーの創業者で、刑務所から出所後に起業して今の地位を築き、仮釈放の受刑者を雇用して社会復帰を助けているという。そのウィルズを逮捕したのはパーカーだった。パーカーはウィルズが会社を隠れ蓑にして悪事を働いていると主張し、弁護士に直接ウィルズと話をさせろと要求する。ヴァンスは様子のおかしいパーカーを心配し、一息つくようにいう。少尉から取り出された弾丸は30口径で第2次世界対戦のころの古い銃から発射されたものだった。やがて、証拠保管室にパーカーのFBI時代の元パートナー、ジェレミー・ブライトンが現れる。ジェレミーはパーカーの最後の相棒であり、車椅子生活になったのは、最後のウィルズの任務で負傷したからだった。ジェレミーはパーカーがウィルズに固執しているといい、パーカーはジェレミーを守れなかったと今も苦しんでいた。当時ウィルズは末端のドラッグの売人で、パーカーたちは何度も取り逃がしながら、銃撃戦となりついに逮捕したという。しかしウィルズは仲間を売るなどして4年間の刑期で、模範囚として服役し、仮釈放が認められた。ウィルズの弁護士からNCISと面会するというので、パーカーとマクギーがウィルズの会社を訪ねる。ジェレミーは、NCISに来る前のパーカーは衝動的で口が悪く、短気な男だったという。ジェレミーが銃撃戦で負傷したためにパーカーは変わってしまった。NCISに転職して、バードウォッチングやクッキングなど、趣味に没頭して人生を仕切り直したのだった。もちろん、チームにも恵まれた。ウィルズは更正して、まともに生きていることを強調し、今あるのは逮捕したパーカーのおがげだという。穏やかに話すウィルズに、パーカーは一人興奮して喧嘩腰だ。ウィルズは捜査に協力するといい、ベニーという供給元が薬を複製できるという。ジェレミーを負傷させたのはベニーだったのか、というウィルズにパーカーはあいつの名を出すなと飛びかかる。この状況でヴァンス局長はパーカーを捜査から外す。ベニーの「ピクルス店」に踏み込むと、ベニーはウィルズとはライバル関係で、組んで仕事をすることはないという。ジェレミーを撃ったかどうかという点についても、自分ではないといい、その場にいなかったと釈明する。ベニーはウィルズに対抗して「3」と刻印したドラッグを売っていた。「W」が復活して、ウィルズはベニーの用心棒、アニーとオマーを引き抜いたという。その2人を呼び出すのなら協力するというので、NCISはベニーにおとり捜査をさせることにする。ケイシーはウィルズの会社の経営状況を調べ、まともな主力製品の売上が落ちて大赤字になったのを、別の収入源で穴埋めしているという。その金の出処は不明だが、ジミーは海軍が押収した「W」とベニーの「3」では成分に違いがあり、ベニーは「W」と無関係ではないかという。パーカーはジェレミーに起きた、不幸な出来事の受け止めで今も悩んでいた。銃撃戦でパーカーの撃った弾がジェレミーの背中に当たった。しかしジェレミーはパーカーを恨んではいないという。あの後、ジェレミーはパーカーに対して手紙を書いた。パーカーはその手紙の封をずっと切ることはなく、ジェレミーは今こそ読んでほしいという。2人はパーカーの家でくつろぐことにするが、パーカーはジェレミーを置いて一人ウィルズの元に向かう。ベニーに呼び出されたマニーとオマーはNCISに制圧され、車の中から盗まれた大量の「W」が見つかった。一方、パーカーはウィルズが一人「W」を扱っている場所に行く。もと受刑者ということで、資金繰りに苦しい時、誰も助けてくれない。会社、従業員をまもるためにクスリを作り始めたというウィルズだが、パーカーに一体自分に何を望むのかという。俺が銃を手にしたら、お前は正当防衛で撃つ気なのだろうと言うが、パーカーはただ逮捕したいと答える。ところがウィルズは逃亡してパーカーが追う。追い詰められ「殺さないでくれ」と命乞いするウィルズに、パーカーは銃をおろして逮捕する。NCISも到着し、海軍からクスリを奪ったのは、ウィルズの命令だったと部下の証言が得られた。会社は仮釈放者の支援を続ける弁護士が引き継ぐという。パーカーはウィルズを逮捕しても気が晴れない。ジェレミーは手紙を読めと、強く説得する。どうしても読まないパーカーのために、ジェレミーは自ら手紙を開けてパーカーのために読み始める。パーカーを恨んだこともあった、でももう前に進む、自分たちはパートナーで、今度はジェレミーがパーカーを守り責任を果たす。君を許している。どこから始めれば良いのかというパーカーに、ジェレミーは自分を許すと言えば良いという。これまでとは全く別の顔を見せるというのは役者さんとしてはやりがいがあるでしょうね。セリフだけで、ジェレミーとのパートナーシップの強さを感じさせ、一人抱える罪悪感、苦しさを表現し、実はいつもの飄々とした素敵なオジサマ風の姿こそ、無理していた姿だったということがわかると、前の奥さんと上手く行かなかった理由もなんとなくわかりますね。パートナーということで、人材不足を局長に訴えるジミーとケイシーが、私達もパートナーだよねというのも良かった。もっとも、それぞれ助手がほしいという問題はきちんと考えてほしいですけどね。本当のパーカーの姿を知ることは、人は変わることができるという事を示してくれると思います。良き仲間、支えてくれる友人がいることは何よりも大切ですね。ウィルズは本当に更生したように見えましたが、金のために違法なクスリに手を出すだけでなく、取り戻すために人の命も奪う、では元の木阿弥ですね。これで、相当長い間刑務所に入ることになるでしょうが、次に出所するときこそ、生まれ変わって新しい人生を歩いてほしいです。