The Blacklist 10 #218 Raymond Reddington (No. 00): Good Night
シリーズフィナーレ。10シーズンにわたる長い旅が終わりました。最終回についてはまあ、いろいろ意見はあるでしょうが、私は思ったよりは良かったと思いました。ただし、あってもなくてもほとんどやらなくても良いような最終回でもあったわけで、まあ、身内向けのものだったのかなという印象です。瀕死の重傷を負ったデンベをレッドは最寄りの介護施設に運び込み、自分の血を輸血すると外科医を呼び寄せ緊急手術を施させる。デンベが連れ去られた現場では親友のハドソンを殺されたニクソンが、クーパーのチームがレッドの急襲を知っていたのだろうとクーパーらに詰め寄る。レスラーは防弾ベストに3発撃ち込まれ、肋骨を折ったが、それもニクソンから見るとラッキーだったと言えるのかどうか。レスラーはデンベはレッドと一緒に行くことを拒否したと言い、その場にいたイシュウッドも証言するが、敵意むき出しのニクソンは納得しない。デンベが担ぎ込まれた介護施設が判明し、FBIが駆けつけるが、レッドの姿はなかった。デンベの手術は成功し、医師は輸血をしたレッドの体調を指摘する。レッドには休息が必要で「旅に出る」と言っていたという。感情的になったニクソンは、レッドを見つけたら殺すという。ハービーはその言葉を聞いて、レッドを探すのに手を貸せないと自ら降りてしまう。クーパーは残ったマリクとレスラーに意志を確認する。今のところ、レッドが国外に飛んだという証拠は掴んでいないが、NYの公衆浴場に何か手がかりがあるかもしれない。クーパーはニクソンにレッドを殺すというなら、ニクソンも責任を取らなければならないと念を押すが、ニクソンは敵意むき出しでクーパーに悪態をつき、クーパーは思わずニクソンを突き飛ばしてしまう。ニクソンには言わないまま、クーパーとマリクがレッドの根城を調べていると、デンベの意識が戻ったという連絡が入る。そこにクーパーらを尾行してきたニクソンが突入し、この場所の事を黙っていたチームを疑う。クーパーは探したければここを探せと言って立ち去る。レッドはとあるヴィラで体を休めていた。徐々に体力は回復しており、オーナーのアンヘラに散歩に行きたいという。マーケットを訪れたレッドは果物などを買ってヴィラに配達するよう頼む。デンベと電話で話していたシーヤは、先程の公衆浴場でなくなっていたものを思い出す。レッドが伝説の憧れの闘牛士を倒した牛の頭蓋骨をメキシコから手に入れ、持ち帰っていた。レッドはその牛の頭蓋骨を故郷のスペインの牧場に戻すつもりなのかも知れない。セビリヤの近くにレッドお気に入りのヴィラがあり、レスラーが向かう。レッドはアグネスに様子を聞く電話をかけた後、クーパーにも連絡を入れる。デンベの枕元にいたため、レッドはデンベの無事を喜ぶ。レスラーがヴィラに到着し、アンヘラに中を見せてほしいと頼むが、そこにレッドの姿はなかった。レスラーからの連絡に、デンベはマーケットに行くべきだとアドバイスする。レッドはレスラーが訪ねてきた事を知り、アンヘラにミウラ牧場の場所を聞く。ミウラ牧場に何かあるのかと問われ、レッドはそこにいまはないが、あるべきものが大事だと答える。司法省の極秘会議で、レッドに情報を流したデンベは起訴されないことになった。しかしデンベは免職となり、クーパーは力が及ばなかったと詫びる。デンベはレッドについて、冷静に死と向き合い、いかに生きるべきかを追及したレッドが好きだったという。ディラン・トマスの詩「穏やかな夜に身を任せるな」を引用し、レッドが害を及ぼす敵に対して怒り、愛するものを守るために怒ったという。光が消えゆくと知りながら平和と喜びと楽しみを見つけ、避けられない終わりが来ることを知りながら情熱を燃やして生きる。レッドと過ごした我々の時間は「どう終わるか」ではなく、レッドはどう生きるか「怒ること」を我々に示したのだった。レスラーはマーケットで聞き込みをし、レッドが一昨日に訪れ、ヴィラの離れの方に泊まっていたという情報を得る。すぐにヴィラに戻るが、レッドは散歩に出た後だった。牛の骨も銃も残されていた。レスラーは現地警察に連絡を取り、周辺をヘリコプターで捜索する。美しい景色を眺めながら牧場に到着したレッドは、雄々しい黒い牛と対面する。レスラーが駆けつけた時、レッドは事切れていた。レスラーは「彼を捕まえた」と連絡する。(完)実際スペインでロケをしたようですね。本当に美しい景色で、レッドの死に場所としてはふさわしいというか、結局彼はどういう死に方を選ぶのかという点では、満足できたのではないかな。憧れのマタドールと同じように牛に殺されたのですし、あの牛だってマノレテ?の子孫だったかも知れません。個人的には交通事故の巻き添えとか、流れ弾に当たるとか、惨めに路地に倒れていて誰も気が付かなかったとかの方がノワールな感じで好きなのですが、さすがにそうはいかないですよね。(笑)バックで流れていたスペイン語の「My Way」はあまり深い意味がないのかも?失恋の歌らしいですが、英語で「これが私の生き方だ」だとベタすぎるような気もします。ともあれ、レスラーが最後に"I've got him!"と叫ぶ終わり方も映画ぽくて、良かった。落ちていた帽子を被せてやるのは彼なりのリスペクトだったでしょうし、個人的にはレスラーがレッドとの関係に終止符を打った事が満足です。その後のチームのことはわかりませんが、きっと彼はリズの墓にそのことを報告して、新たな人生に向かって行くのでしょう。10年たっても美しいスタイルを維持し続けたディエゴが良かったなと思います。もちろん、このエピソードの山場は涙を流すデンベでしょうね。寡黙なキャラクターだけに、しかも寝たままだし、見せ場となりました。レッドから輸血を受けて生き延びたのだから、彼の中にレッドは生き続けるような気がして、デンベはレッドを思い続けながら生きるのでしょう。クーパーはそれなりに政治力を使って生き延びるのでしょうね。アグネスを一人前のしなければならないし、もう危ないことはしないで穏やかに生きてほしいです。で、結局レッドは何者か分からなかったというのが、多分多くの期待を裏切ったのだろうと思いますが、これも想定内かな。レッドの遺体がFBIの秘密基地に保管されて、あれこれ調べるという終わり方も想像しましたけど。(笑)制作側もさじを投げてしまったというか、誰でもないし、誰でも良いのですよ。ジェームズ・スペイダーだったということが意味があって、10年間彼なりのレディントンを演じきったことに感謝したいです。