カテゴリ:日本経済
円高は日本経済に打撃か?
新聞の間違い その2 日経新聞は、他紙と違って経済紙です。その日経新聞にすら、円高で日本の輸出産業は大打撃を受けると平気で報じています。この報道は間違っています。ただ間違いと知りつつ「ウソ」をついているようには思えませんので、間違いと気付かずに、そう信じているのではないかと、私は疑っています。 経済評論家と称する人たちの中にも、そう口にしたり、書いたりしている人たちが多いですから…。 事実を指摘します。ここに記すことは、2010年(つまり昨年)の財務省統計に載っていたものです。昨年の日本企業の貿易決済の通貨建て比率を見ますと、輸出のドル建ては48%、円建ては42%です。輸入では、ドル建ては71%で円建ては23%です。 貿易においては、商品を購入する側、つまり輸入して代金を支払う側は、弱い通貨での決済を求めます。当然輸出する側、代金を受け取る側は強い通貨での決済を求めます。貿易においても、支払いは手型になります。1ヵ月後が期限とすれば、今1ドル80円のドルは、その頃には75円に下がっているかもしれないのです。ですから、ドル建てにしておけば、80円の支払いでなく、75円の支払いで済みます。 ご承知の通り、昨年は対ドル、対ユーロで大幅な円高が進みました。それなのに、円建て輸出の比率が、ドル建てに追いつきそうな勢いなのです。輸入については、日本企業に不利な円建ては23%に留まっています。 さて、そうはいっても、日本製品の輸入は、相手国にとって、高いものにつくことは事実です。ドル建て輸出の比率が増えても、輸出総額が減っていれば、円高打撃論は正しいということになります。しかし、昨年の輸出総額は、史上最高でした。 つまり、円高は日本の輸出企業に打撃を与え、不況に直結するという考え方は、正しくないのです。円高で資源高を吸収することで、日本経済は助かっているのですね。大震災は、さすがに堪えたようですが、経済界は予想より早く、回復しつつあるようです。問題は市井の人々の暮らしの再建です。 円高不況論は、信じない方が良いように思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本経済] カテゴリの最新記事
|
|