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14日の日記 「民事再生法成立」の補足
民事再生法と会社更生法 今晩は。昨日の日記で、民事再生法を取り上げましたところ、もう少し丁寧に説明してほしいという要望を受けました。また、私の説明不足で、誤解を招いてしまったように感じられるところもありました。大変失礼いたしました。そこで、以下に少し補足をさせていただきます。 民事再生法が成立するまでの会社の倒産や再建については、破産法と会社更生法という二つの法律が対応しておりました。再建の見込みがなければ破産法で、全ての会社資産を処分して、債権者でその全てを分配して終わりにする。再建の見込みのある場合、選任された管財人の手で、会社の再建が図られる。このどちらかになるのが通例でした。 破産申請も、会社更生法の適用申請も、いずれも経営陣が行うのですが、どちらも手形の不渡りが決定的となった段階でしか、申請できない仕組みになっていました。つまり、ことここに至って、初めて申請が可能になるのです。ですから、追い詰められていよいよという段階での申請になりますから、もう少し早ければ再建できたかも知れないけれど、ここまで来てはもう無理だと、破産(会社の消滅)を選択するしか無くなるケースも多かったのです。 これに対し、民事再生法は、会社更生法と同じ、会社再建を目指した法律ですが、手形が不渡りになる恐れがあるといった段階で申請が可能なため、再建が手遅れになる前に申請できるというプラス面がありました。 現実に倒産したわけではありませんから、経営者が退陣しなくても良いことになります。ただし、この申請が裁判所で認められるためには、債権者の2/3以上の同意(=賛成)が必要で、それが得られなければ、申請は認可されず、会社更生法に切り替えて申請せざるを得なくなります。あくまでも、現経営陣の下での再建が可能で、そうした方が自分の抱える債権の回収率が高まると、債権者が判断するか否かが、分かれ道になるのです。 最近の例では、日本航空の再建は、会社更生法によってなされましたが、スカイマークの再建は、民事再生法の下で行われることになりました。 何故か。スカイマークの場合、大口債権者の数が少なく、2/3以上という再検査の合意が得やすかったのに対し、日本航空の場合は、債権者が多く、合意の取り付けが困難であったことが挙げられます。 民事再生法の適用を申請したけれども、債権者の同意が得られなかったケースとしては、マイカルのケースが有名です。マイカルの経営陣は、あなたたちが今後も経営にあたるのでは、会社の再建は難しいから支持できないと、債権者たちの不信を買い、再建計画を承認してもらえなかったのです。 また、民事再生法では、管財人は選任されませんから、債権者が担保権を行使して会社資産を切り売りすることは阻止できません。ですから、しっかりした再建計画を早期に承認してもらい、資産の散逸を最小限に留めることも、再建を可能にする上で、とても大事なことになるのです。 とりあえず、こんなことでお分かりいただけるでしょうか…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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