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カテゴリ:ハーバード経済日誌
成績2(フリーページに「驚異のガラパゴス2」をアップしましたので、興味がおありでしたらお読みください。メモ2「フロレアーナのミステリー」がお薦めです。)
中間試験が終わると、学生たちは初めて、それぞれの試験や論文・ペーパーに対するグレード(成績)というものを受け取る。ミッドキャリアの学生にとっては、社会人として培ってきた「知恵」と「力量」を試されるわけだ。 その成績をめぐっては、学生と教授の間でもめることもある。特に設問に答える形式の試験ではなく、ある程度自由に書くことができる論文やペーパーだとなおさらだ。もめるときはたいていの場合、なぜこんなに低いグレードなのだと、教授に食ってかかることが多い。とくにミッドキャリアの学生はプライドも高く、教授とほとんど対等か、もっとえらそうにしている人もいる(実際、年齢も上回っているケースが多い)。 そういう場合、教授側は「これは相対評価であり、もっといい論文やペーパーがあったのだ」などと説明するようだ。きっちりと点数と成績の関係を明記して、成績の分布グラフも公開することが多い。学生の参考にするために、Aを取ったペーパーを張り出す場合もある。 英語文化に慣れていないと、教授側の論文やペーパーに対するコメントを誤解するケースも出てくる。ペーパーに対する論評を教授がする場合、アメリカでは俗に言う「サンドイッチ・メソッド」を使う(もちろん例外はある)。つまり、身(肉)の部分をパンで挟むように、本当の言いたいこと(身の部分)を真ん中にもってきて、最初と最後(パンの部分)はどちらかというと社交辞令的なコメントを持ってくるのだ。 たとえば、「あなたのペーパーはよく書かれている」と、最初は通常ほめる。ところが、教授が本当に言いたいことは、次に来る「だが、この点とこの点が分析不足だ」とか「議論が十分でない」であることが多い。それでも最後は「努力を認める」「よくまとまっている」などとほめて終わる。 すると、最初と最後だけを見た学生は、「教授はほめてくれているのになぜBしかくれないのだ」と勘違いすることがある。イスラエルから来た学生は、まさにそう言って、教授に食って掛かっていた。 ただ所詮、成績は記号や数字。その人の人間としての価値を決めるものではない。客観的な論評部分だけを参考にして、あとは「何を勝手なことを言っていやがる」ぐらいに思っておけばいいのではないか。 成績1は11月26日の日記を見てください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.12.11 17:26:23
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