|
テーマ:メディアって何だ!?(204)
カテゴリ:メディア
▼殺人事件の原稿の書き方
ここで殺人事件の原稿の書き方を紹介しよう。 日時と場所から始めるのは、どの原稿も同じだ。殺人事件の場合は、死体が見つかった状況から書く。誰がいつ、どこで、どういう状態の被害者を発見したか。たいていの場合、被害者は倒れている。だから原稿も、「ジョギング中の会社員が、どこどこの路上で男の人が(血を流して)倒れているのを発見、110番(119番)した」などと書く。もちろん、衆人環視の中で発生した殺人事件の場合は、発生状況をそのまま書く。 これを受けて、警察の登場だ。警察や消防が調べた結果を書く。「どこどこ署が調べたところ、男性の胸には鋭利な刃物で刺されたような傷があり、既に死亡していた」とか「男性は病院に運ばれたが、間もなく出血多量で死亡した」などと書く。 次に警察がこの事件を、どういう根拠でどう判断したかを書く。自殺なのか、他殺なのか、事故なのか、その根拠は何かを書けばいい。どう考えても他人がやったとしか思えないような傷が致命傷であれば他殺であろう。被害者本人が凶器とみられる包丁を持っていれば、自殺の可能性もある。誤って高い場所から転落して死亡した事故かもしれない。警察が調べた現場の状況や判断根拠を説明して、最後は「どこどこ署は殺人事件と断定、捜査本部を設置した」とか「どこどこ署は殺人と事故の両面で捜査している」などと書く。 後は被害者の身元と目撃証言である。「所持していた免許証などから殺されていたのは、だれだれさん」などと書く。この被害者に最後に会った人の目撃証言などが後に続く。どういう理由で現場にいたのか。普段と変わった様子がなかったか。通り魔的な要素が強いのか、それとも怨恨か。被害者の足取りを中心に具体的に書く。 殺人事件が発生した場合、通常記者一人(余裕があれば二人以上)が現場に飛び、もう一人は警察を取材して原稿を書く。今まで話したような内容は警察からも取れるが、現場に行った記者は周辺の目撃者を徹底的に取材する。被疑者に結びつくような目撃証言がなかったか。被害者の自宅周辺(最低でも向こう三軒両隣)、被害者がよく立ち寄りそうなクリーニング屋や床屋を探し出して被害者のことを詳しく取材する。 現場の記者から新たな情報が入ってくれば、原稿を差し替えていけばいい。業界では取材が十分にできるようになるまで「殺し3年、火事8年」といわれているので、殺人事件の現場取材は比較的簡単な部類であるといえるだろう。 原稿の最後は通常、被害者の家族構成がどうなっているか(一人暮らし、両親と同居、妻と息子の三人暮らしなど)とか、現場がどういう場所なのか(閑静な住宅街なのか、団地なのか、繁華街や駅からどれだけ離れているのか)といった情報を書いて終わる。 以上が殺人事件の原稿の一般的なパターンである(今度、捜査本部を設置するような殺人事件が起きたら、どのような構成の原稿になっているかチェックしてみてください)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[メディア] カテゴリの最新記事
|
|