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天の王朝

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白山菊理姫

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2007.12.05
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テーマ:いい言葉(576)
カテゴリ:文学・芸術
シェイクスピアから生まれたバラ2

シェイクスピアの戯曲の台詞から生まれたバラもあります。
それがScepter’d Isle(王権が統治する島)という、淡いピンク色のオープンカップ咲きのバラです。ミルラ香のする非常に人気の高いイングリッシュ・ローズでもあります。『リチャード2世』の第二幕第一場で、病に伏して今にも死にそうなランカンスター公ジョン・オブ・ゴーントが、イギリスの将来を憂う台詞の中に出てきます。

This royal throne of kings, this scepter’d isle,
This earth of majesty, this seat of Mars,
This other Eden, demi-paradise,

この諸王の玉座、この王権が統治する島、
この国王の大地、この軍神に守られた地、
この第二のエデン、地上の楽園・・・

これらはみな、イングランドを言い換えた言葉です。このあとも延々と形容が続くのですが、長いので割愛させていただきます。愛国心を鼓舞するときにも使えそうな表現になっていますね。

Scepter’d Isleがあるなら、『テンペスト』のBrave New Worldもあるかなと思って探しましたが、見つかりませんでした。オルダス・ハクスリーのSF小説のタイトルには、なりましたね。

これまで一度も取り上げなかった『ヴェニスの商人』からは、二種類のバラが誕生しています。Wise Portia(聡明なポーシャ)と Pretty Jessica(かわいいジェシカ)です。前者は房咲きとなる薄紫色のバラ、後者は花弁が巻き巻きになるピンクのバラですね。

ポーシャはバッサーニオと結婚した聡明な女性で、バッサーニオのためにユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りたアントーニオを救うために、裁判官に変装します。裁判でポーシャは、証文どおり借金を期日内に返せないアントーニオの肉1ポンドを求めるシャイロックに対して、シャイロックの言葉を逆手にとって「証文どおり肉を取るがいい。ただし、証文には血のことは書かれていない。キリスト教徒の血を一滴も流さずに肉を切り取るがいい」という有名な裁きをします。シャイロックは結局、キリスト教に改宗させられたうえ、全財産を没収されます。シャイロックにとっては踏んだり蹴ったりです。哀れなシャイロック。

そのシャイロックの娘がジェシカです。そのジェシカはかわいいのかもしれませんが、父親が外出している隙に、財産を持ち出してロレンゾーと駆け落ちしてしまいます。駆け落ちするのは別に構いませんが、父親の金を盗むことはないですよね。とんだ不良娘です。でも観客は、異教徒のシャイロックが娘と金を取られた姿を見て、「いい気味だ」とほくそ笑みます。

この『ヴェニスの商人』には、数々の名言・至言がでてくるので、紹介しましょう。

All that glisters is not gold.
光るもの必ずしも金にあらず。

格言にもなっていますね。glisterは古語で、glitter(輝く)と同じ意味です。
いきさつはこうです。ポーシャの父親は、娘と結婚したいならば黄金、銀、鉛の三つの箱から一つを選び、その中にポーシャの肖像画が入っていれば結婚を認めると決めました。モロッコの王が選んだのは黄金の箱。その箱に中に入っていたのが、うわべに惑わされて黄金の箱を選んだ者をあざける言葉(詩)だったというわけです。この詩の1行の後に、すべて脚韻を踏んだ詩文が8行続きます。脚韻があざけりの度合いを強めます。

ポーシャには意中の人がいました。それがバッサーニオ。ポーシャはバッサーニオに正解の箱を開けてもらいたくて、次のような歌を歌います。

Tell me where is fancy bred?
Or in the heart or in the head?
ひらめきはどこで育つの?
心の中で、それとも頭の中で?

実はこれ、bred、headと脚韻を踏むことで、lead[led](鉛)の箱であることを一生懸命教えようとしているんですね。さすがに聡明なポーシャです。それほど聡明とはいえないバッサーニオは気づきません。でもちゃんと鉛を選んで、見事結婚することに成功します。

この劇で悪役になっているシャイロックの言葉にも耳を傾けましょう。

SHYLOCK. Hath not a Jew eyes? Hath not a Jew hands, organs, dimensions, senses, affections, passions, fed with the same food, hurt with the same weapons, subject to the same diseases, healed by the same means, warmed and cooled by the same winter and summer, as a Christian is?

ちょっと長くなりそうなので、続きはまた明日にしたいと思います。

今日の写真も紅葉を背景にしたバラです。

紅葉とバラ

ご紹介が遅れましたが、背景で紅葉しているのはメタセコイア(別名アケボノスギ)の並木です。





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最終更新日  2007.12.05 12:47:24
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