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天の王朝

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白山菊理姫

白山菊理姫

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2008.04.15
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テーマ:いい言葉(576)
カテゴリ:文学・芸術
▼悪の華と薔薇20(レスボス後半)
レズビアンの島とされた「レスボス」の後半部分です。

Car Lesbos entre tous m'a choisi sur la terre
Pour chanter le secret de ses vierges en fleurs,
Et je fus de l'enfance admis au noir mystere
Des rires effrenes meles aux sombres pleurs;
Car Lesbos entre tous m'a choisi sur la terre.

レスボスは、地上のすべて詩人の中から私を選んだ、
花盛りの乙女たちの秘密を歌わせるために、
だから私は幼少のころから、黒い秘密の園に入ることを許された、
暗い涙の混ざった奔放な笑いの秘密の園に。
レスボスは、地上のすべて詩人の中から私を選んだ。

Et depuis lors je veille au sommet de Leucate,
Comme une sentinelle a l'oeil percant et sur,
Qui guette nuit et jour brick, tartane ou frigate,
Dont les formes au loin frissonnent dans l'azur;
Et depuis lors je veille au sommet de Leucate,

それ以来、私はルカート岬の上で寝ずの番をしている、
鋭く確かな目を持つ歩哨兵のように、青い海の彼方で
影を震わす小型帆船、あるいはフリゲート艦を
見逃すまいと昼夜を問わず見張りをする。
それ以来、私はルカート岬の上で寝ずの番をしている。

Pour savoir si la mer est indulgente et bonne,
Et parmi les sanglots dont le roc retentit
Un soir ramenera vers Lesbos, qui pardonne,
Le cadavre adore de Sapho, qui partit
Pour savoir si la mer est indulgente et bonne!

海が寛大で優しいかを知るために、
岩の音がとどろく、すすり泣きの中で、ある晩
海が、身投げしたサッフォーの崇高な亡骸を
許しの島のレスボスの岸へと連れ戻してくれるのか、
海が寛大で優しいかを知るために!

De la male Sapho, l'amante et le poète,
Plus belle que Vénus par ses mornes paleurs!
―― L'oeil d'azur est vaincu par l'oeil noir que tachete
Le cercle tenebreux tracé par les douleurs
De la male Sapho, l'amante et le poete!

男勝りのサッフォー、恋人にして詩人のサッフォーよ、
鈍い青白さゆえに、ヴィーナスよりも美しい!
――ヴィーナスの青い瞳さえ、苦悩が残した
暗い縁取りの黒い瞳にはかなわなかった。
男勝りのサッフォー、恋人にして詩人のサッフォーよ!

―― Plus belle que Vénus se dressant sur le monde
Et versant les trésors de sa serenite
Et le rayonnement de sa jeunesse blonde
Sur le vieil Ocean de sa fille enchante;
Plus belle que Venus se dressant sur le monde!

――世界に君臨するヴィーナスよりも美しい
その清明さという魂の宝玉を
その金髪の若さという輝きを
自分の娘に見とれる年老いた海に投げ入れた。
世界に君臨するヴィーナスよりも美しい!

――De Sapho qui mourut le jour de son blaspheme,
Quand, insultant le rite et le culte invente,
Elle fit son beau corps la pature supreme
D'un brutal dont l'orgueil punit l'impiete
De celle qui mourut le jour de son blaspheme.

――神を冒涜した日に死んだサッフォー、
儀式とでっち上げられた信仰を侮辱しながら
彼女はその美しい体を、傲慢にも不信心を罰した
野蛮な獣の格好の餌食としてしまった。
神を冒涜した日に死んだサッフォー。

Et c'est depuis ce temps que Lesbos se lamente,
Et, malgre les honneurs que lui rend l'univers,
S'enivre chaque nuit du cri de la tourmente
Que poussent vers les cieux ses rivages deserts.
Et c'est depuis ce temps que Lesbos se lamente!

そのとき以来、レスボスは嘆いているのだ、
世界がかしずくという栄誉を得ながら、
人気のない岸辺から空へと昇っていく
苦痛の叫びに毎晩酔いつぶれる。
そのとき以来、レスボスは嘆いているのだ!


事実は確かではありませんが、伝説では美少女か美青年かの恋に破れたサッフォーがレスボス島のルカート岬から身投げして死んだことになっているんですね。だからこそ、選ばれた詩人のボードレールは、ルカート岬でサッフォーの亡骸が岸辺に打ち上げられないか見張っている、という状況を設定しているようです。

もちろん実際は、ボードレールは怪しげなパリの売春宿街(黒い秘密の園)に若い頃から出入りして、禁断の恋を目撃してきたことを言っているのでしょうね。この詩は初版の『悪の華』の代表的な作品だったとみられています。というのも、当初ボードレールはタイトルを『レスボスの女』にしようとしたことがわかっているからです。

今の時代にこの詩を読んでも、どこが背徳的かまったくわかりませんが、当時は同性愛を詩のテーマにすること自体、不謹慎なことだったようです。
(続く)





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最終更新日  2008.04.15 07:49:00
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