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カテゴリ:お気に入りコミックス・アニメ
今年は終戦後60年。私はその手の本はほとんど読まないのですが、これは上海という外地での終戦間近の物語です。
開戦前夜の物語『南京路に花吹雪』に続く形で、新聞記者の本郷義明が主人公。かつて戦争回避のために働いていた彼やその周囲の人々は、『Shang-hai1945』では、敗色濃厚な状況の前に無力な自分たちを知りつつも、それぞれ生きようとあがいています。 スコッチか。/上海にはまだ/こんなもんが/あるんだな。 … 血と泥にまみれた/前線の地獄絵をよそに/ 無風地帯として/浮かれ騒ぐ/この不埒な街… ――『Shang-hai1945』 物資も情報も不足する内地とちがい、上海にはまだカフェもある、酒も飲める、ダンスも楽しめる。しかし人々は、太平洋で敗退し追いつめられていく日本軍の現状をよく知っていながら、なすすべがない。その焦燥感、無力感。一方で生き抜くためと言いながら私利私欲にはしる者たち。 南方戦線で真正直に「日本は負けるから早く講和しろ」と発言して、日本刀で斬られかけた本郷さん。私腹を肥やす軍の要人に目をつけられ、無理矢理働かされながらも、目を曇らせることなく状況を見極め続ける本郷さん。 彼の良さは、前作にひきつづき戦争という時代の中で、いつも貧乏クジをひきながら、まっすぐな自分を失わずもがき続けるところだと思います。国を憂えて散っていった黄子満(ワン・ツーマン)や鬼怒川中佐と違うのは、それでも生きのびてゆくつらさと強さ。そして敵国となってしまった中国への変わらぬ愛、です。 ラストで、戦争が終わって、愛し続けた蔡文姫(ツァー・ウェンチー)と再会し、シリーズ完結編でやっと報われた彼に、読者はほっと胸をなでおろして、一つの時代の完結を感じることができます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 7, 2005 10:38:19 PM
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