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カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
今日はル・グインの『影との戦い』について書こうと思いました。ところがこの本、一度読んで以来、ほとんど読み返していないので、細かい内容が思い出せません。
初めて読んだのはだいぶ大人になってからで、いろんなところに「『ゲド戦記』はすぐれたファンタジー」として紹介されているので、読んでみなくちゃと思ったんですね。 第1印象は、「暗い。暗すぎる」でした。ゲドの性格が暗すぎ。はっきりいって私の嫌いなタイプ。 若いくせに、才能も悩みもすべて自分で全部背負いこんで、自己完結しているんですもの。マジメで高尚で、その道を究めるために一途に進み続ける彼を見ていると、のんびり運まかせタイプの私なんかは、疲れてしまいます。 そして、クライマックスが、また私好みじゃないんです。自分をおびやかす「影」を逆に追いつめたゲドが、最後に影に向かって「ゲド!」と呼びかけて、合体するところ。 ほんとに「影」がゲドの半身だったのなら、マイナスならマイナスなりに、何かもっと彼と共鳴してくるものがあると思うのに、今の今まで完全な敵として追いつめておいて、ゲド自身の心の変化の描写もなく、いきなり名を呼んで自分に取り込んでしまうのが、どうも唐突で腑に落ちないんです。 しかも世界の果ての何もないところで、決闘みたいに1対1で(唯一の友人カラスノエンドウが居てくれるところだけが救いですが、彼はただのお世話係のようにも思えます)。 こんなにも自分(影)ばかりを気にして追い求めるゲドの心には、誰も近づけない!って気がして、読者としてはさびしいです。 もっと微妙なやりとりがあって、周囲のあれこれとのからみもあって、その中で、ゲドと影が一体化してほしかったな・・・ 青春時代なのに、あまりにも孤高のゲド。 第2巻以降の方が、はるかに人間関係が充実していますよね。 だから映画化はこれではなく第3巻なんでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 22, 2006 11:01:36 PM
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