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テーマ:本日の1冊(3697)
カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
メリングの第3作です。今回も主人公はティーンエイジャーの現代少女ですが、『歌う石』の孤独なヒロインと違って、カナダ人とアイルランド人のいとこどうしの名コンビです。
もっと小さな子ども、特に男の子は、友だちといっしょに遊びの延長として、わりと気軽に別世界へ入りこむ(ナルニアのルーシーのように)と思うのですが、思春期の女の子だって行っちゃうぞ、という意気込みが、『妖精王の月』の初めの方にみなぎっています。 十代の女の子どうしの友情は、私自身も覚えがありますけど、すごく深くて夢中で、かけがえのないものだと思います。そういう友情で結ばれた二人が、アイルランドでほんとの探索へ出かけるのですから、うらやましい! そして二人はタラへでかけます。古代アイルランドの上王(ハイ・キング)の宮殿跡の遺跡で、アイルランド人のフィンダファーはほんとうに妖精王にさらわれます。 すばらしくて、しかも恐ろしいのは、そういう事件が実際に起こっても不思議ではないと思わせるような、アイルランドの土地柄、雰囲気そのものです。ヒッチハイクした車の運転手はどうも小人のよう。荒れ野で出会う鳥や野生動物は、まるで話しかけてくるよう。パブのミュージシャンは妖精たちのよう。 私もアイルランドを旅したとき、そういえば不思議な感じのできごとにいくつか出会った気がします。タラの丘で突然雲間からさしてきた金色の日光とか、野原の真ん中の空港で深夜見かけた、酒宴につどう人々、あれは誰たちだったのだろうか、とか。 アイルランドには今でも妖精がいる、その証拠に「レプラコーン(小人)の横断注意」という道路標識が立っている、などと旅行のガイド本には書いてあります。ほんとうにアイルランドの空気は、濃いというのか、何か現代文明とは違うエネルギーを満たしているような、霊感などにはうとい私にも、そんな何かが感じられました。 その「感じ」が、この物語ではよく現されていて、「そうそう! その通り!」と大きくうなずいてしまいます。 ただし妖精じみた空気にあたりすぎると、もう一人のヒロイン、カナダのグウェンのように、妖精の呪いにあてられて、身も心も弱ってしまいます。そういうとき、助けてくれるのが、妖精界とかかわりを持つ人たち――「妖精のお医者」のおばばや、インチ島の古い血筋の「王」である青年です。 ここにも、妖精王とのめくるめく恋と、人間の「王」である青年との素朴な恋と、二つの恋模様が対照的に描かれて、女の子の冒険を盛り上げていると思います。 この物語とアイルランドについてもっと→HANNAのHP内「タラの丘」へどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 19, 2006 09:56:18 PM
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