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HANNAのファンタジー気分

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October 2, 2006
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テーマ:お勧めの本(7394)
「第3編」つづき。

 デロレインのウィリアムは倒され、彼の持ち帰った魔法書を、クランスタウン卿の小姓の小人が開いてしまいます。本はすぐ閉じますが、開いたページに載っていた姿変えの呪文は小人に読まれてしまいました。
 小人は、あるじクランスタウン卿の言いつけ通り、瀕死のウィリアムを城へ運びこみます。姿変えの魔法を使っているので、城の門番たちは何も気づきません。小人はウィリアムを奥方の部屋へ乱暴に放り出すと、引き返しますが、その時、外庭で遊んでいる男の子を見つけます。この子は奥方の幼い息子で、ブランクサム城のあととりです。
 悪質ないたずらの好きな小人は、またもや姿変えの呪文を使って自分も少年の姿になり、男の子を城の外へ誘い出します。門番たちの目には、子犬が2匹通っただけと見せかけて、小人はあととり息子をどんどん遠くへ連れていってしまいます。

  とうとう二人は森の中の小川にやってきた。
  すると流れる水が呪文を破り、
  小人は本来の妖精じみた姿をあらわした。
   ――サー・ウォルター・スコット「最後の吟遊詩人の歌」第3編より第154~156行(訳はHanna)

 とたんに小人は逃げ去ってしまい、子供はびっくりして立ちつくしたあと、城へ戻ろうと歩き出して、かえって森の奥へと迷いこみます。
 やがて猟犬のほえ声が聞こえ、黒いブラッドハウンドが飛びだしてきて、あととり息子に襲いかかります。彼は棒きれで応戦しますが、そこへ弓を構えた二人の猟師が、犬を追って現れます。その帽子には、イングランドのしるしである聖ジョージの赤十字がついていました。彼らは、国境地帯の森でシカを狩るイングランド人の郷士だったのです。
 子供はたちまちつかまってしまいます。
LLMつかまった若君
 「さあて、聖ジョージさまにかけて」と射手は叫んだ、
 「エドワード、俺たちゃいい獲物をつかまえたようだぜ!
  このぼうずの可愛い顔と、物怖じしない勇気をみりゃ、
  高い身分の生まれだってことが分かる」

 「そうとも、僕は高い身分の生まれだ。
  僕は勇敢なるバックルーの世継ぎだぞ。
  お前が僕をはなさないなら、
  たっぷり後悔することになるぞ、悪い南方人め!
  なぜって、ハーデンのウォルターがすごい勢いでやって来るぞ、
  それから、難局に役立つデロレインのウィリアムや、
  エクスからトウィードにいたる、スコット一族郎党全部が来るぞ。
  そして、僕を自由にしないなら、
  おまえたちの弓矢なんかにかかわらず、
  僕はおまえたちを縛り首にして、鳥の餌にしてやる!」

 「高貴なぼっちゃん、ご親切さま、ありがとよ!
  ・・・
  今のところは俺と一緒にいらっしゃい、
  立派なデイカーの殿(イングランドの貴族)にお引き合わせいたしますぜ」
   ――サー・ウォルター・スコット「最後の吟遊詩人の歌」第3編より第236~250、258~259行(訳はHanna)

 こうして、ブランクサム城の奥方の息子は、敵国にとらわれてしまうのでした。


(つづく)
 うーん、なかなか話が進まない・・・もう十月になってしまいました。





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Last updated  October 2, 2006 10:31:35 PM
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