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テーマ:本のある暮らし(3308)
カテゴリ:ちょっとなつかしのファンタジー
ファンタジーや冒険物語を読むとき、最初から自分も主人公になったつもりで、思いっきり別世界をハラハラドキドキ楽しみたい、というのが、小さいころの私の読み方でした。
だから、別世界にはいるまでの“前置き”や、“枠組み”のあるお話があまり好きではなくて、その部分をとばして読んだりしていました。なぜこんなまわりくどい前置きや枠があるんだろうと思っていました。 たとえばメアリ・ノートンの『床下の小人たち』。この本では、小人が出てくる前に、少女ケイトがおばあさんに編み物を習うのに編み針をなくしてしまって・・・、とか、その編み物をする部屋のたたずまいとか、そんなことがまず語られます。で、おばあさんが、物がなくなるのは小人が「借りて」いくからかもしれないと言い、自分の弟がそんな小人たちと知り合ったことがあるのだ、と言って、それからやっと本題の小人たちの話が始まるのでした。 私はこの長く退屈な(と、子どものころには思いました)前置きゆえに、『床下の小人たち』は好きになれず、引っ越しの時でしょうか、この本(シリーズで4冊持っていました)を手放してしまいました。 ところが不思議なのは、それ以来読んでいないのに、なぜかこの冒頭の前置き部分は、かなりはっきりと覚えていて、つまらないと思っていた部屋のたたずまい・・・きれいに磨かれ、静まりかえった、どっしりと古い屋敷の、外の明るい光が部分的に射しこんでいる、天井の高い応接間・・・その雰囲気を、いまだに思い出すのです。 その後、いろいろなファンタジーで“枠”や“前置き”を読み、年齢が上がるとともにだんだんそんな枠つき物語が好きになってきました。 たぶん精神の柔軟な子供時代とちがって、大人になってしまうと、別世界へは、何か儀式めいた特別な“枠”や“前置き”がないと簡単にはトリップできなくなってきたのかもしれません。また、物語世界にどっぷり入りこむ読み方というよりも、物語世界全体を高い位置からパノラマのように見わたしてストーリーや背景を楽しみたいという読み方に、自分が変わってきたのだと思います。 今では、怒濤のようなストーリーと、そこからちょっとカメラを引いた視点で描かれている“枠”とを両方兼ね備えている物語が、とても好きです。 ホビットの起源やエセ歴史書から語り始めるトールキンの『指輪物語』などは、まさにそういう二つの視点を持っています。それから、“挿入”という形で創世神話や伝説が語られる『ウオーターシップダウンのうさぎたち』も、枠物語とはちょっと形式がちがうけれど、やっぱり一歩引いた広角な視点を持つところは同じです。 そして、実は今日のメインとして取りあげるつもりだった、ジェイン・ヨーレンの『光と闇の姉妹』『白い女神』もそうなのでした・・・が、その話はまた後日。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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