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カテゴリ:絵本の読み聞かせ
この人気絵本も、『たまごにいちゃん』と同じく、“子離れ”という親の立場から読むとじーんと来る物語です。幼児向けなんでしょうが、今度6年生最後の読み聞かせに堂々、大形絵本で登場させます。そろそろ自立していこうとする年頃の彼らなら、この親の立場というのを少~し感じられるかなと思います。 ストーリーは実はありがち。あまりに無邪気な草食恐竜の迷子を、食べることが出来なかった優しくてボクトツなティラノサウルスが、その迷子のアンキロサウルスのパパがわりとなって一生懸命育て、しかし最後には涙をのんで本当の親のもとへ帰してやるお話。アンキロちゃんが「おとうさん」のために取ってきた赤い実を、ティラノがしみじみ食べるというところで終わります。 宮西達也には、『おまえうまそうだな』をはじめとするティラノサウルスのシリーズの他に、教科書(2年生)にも載っている『にゃーご』という絵本がありますが、これも、無邪気なねずみの子たちをどうにも食べられなかった猫が、一緒に桃をとりにいったあげく、自分の子のおみやげにとその桃をもらってしまうお話。よく似たパターンです。 こういうストーリー、親(大人)はうるうる来るんですね。疑うことを知らない真っ白な心の子供を前に、世間ずれしてしまった自分が何だか恥ずかしくて・・・みたいな。 でも、考えてみたら、ティラノが他の恐竜を食べるのは当たり前だし、猫がねずみを食べるのも自然の摂理なんですから、何も自分を恥じることはないんです。自然界には必ずある弱肉強食の生存競争を、動物を擬人化したお話に持ちこんだとき、食べるがわのティラノや猫が“悪者”で食べられるがわが“かわいそうな弱者”という前提が作られてしまう。これってよく考えるとヘンな気もします。 肉食動物と草食動物の友情というのは本来ありえないのに・・・ 絵本や童話という場で擬人化して、それをつきつめたら『あらしのよるに』シリーズみたいな奇妙な友情物語ができてしまう。 まあ絵本ですから、そんなことはおいといて、まずは素直にうるうるするんですけど、あとでいろいろ上のようなことを考えちゃって、結局私は、 イタチよ、永遠の敵よ ・・・ 戦い続けること それが生命の証だ ――斎藤惇夫『冒険者たち』 と歌いあげるガンバたちのほうに、より感動するなあと思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 6, 2009 12:29:02 AM
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