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カテゴリ:これぞ名作!
大好きな第20話を語り終えて脱力気味ですが、第21話行ってみます;
「売春宮殿」の「娼婦の女王」を「片脚の乞食」が訪ねる話。情景描写も会話もくわしく語られているけれど、むずかしいお話でした。 宮殿の内部は明らかに女性の体内を模したつくりで、女王も卵(卵子)のようでもある(頭も体も象牙のようにつるつる)一方、熱い金属の匂いや鋼鉄のマスクなど、人工的で工場のようなイメージも持っています。自然でやわらかいはずの女性の体が、金属や工場のように非人間的・破壊的なのは、女性性みたいなものが病んでいるのでしょうね。 一方、乞食の方も、片脚だし衣服はズタズタ、顔もボロボロですが、王冠(ただし紙の)をかぶっているので、彼はじつは王様で、誓いをたてて女王の王国をつくり敵から彼女を守った、つまり女王を愛した伴侶だったのです。 この男女の会話が続きますが、どうにもかみ合わない。昔は少しは良い関係だったらしいのに、女王はずっと何もかも奪い恐れられてきたし、乞食は皆から喜捨や愛を受けてきたというから、正反対の状況・性格。共通しているのはどちらもほとんど絶望していること。そして、わずかな希望を相手に求めていること。乞食だって呼ばれて自分の(不自由な)足で女王のもとへ来たわけですから、何か彼女に期待することがあるのだと思われます。 第13話のすれ違う花婿・花嫁と同様、この男女の間にも不毛の断絶があるのです。しかし、それでも二人は出会い会話し、しまいに「生み出す力」を奪う1滴の薬品?を受け渡しします。子供のころ女王が悪魔からもらい、厄介払いしたと思っていたが、最後に乞食からもらって手元に戻ってきた物。それは、最も重大な女性性、つまり「生み出す力」でした。 こうしてみると、女王は女性自身の最大の力を取り戻したともとれます。しかし愛のない女王にとって、それは世界を滅ぼす最終兵器としてしか働かせることができません。生み出す力は、滅ぼす力でもあるわけで、ここに女性性の両面性--ユングによれば生み出すとともに呑み込む、つまり滅ぼす力も持っている、それが現れているのかなと思います。 とにかく、女王は娼婦の国の灯りを消し、暗がりの中で、女性性の力をふるう時を待ちます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 28, 2016 12:10:09 AM
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